モーニングスター <4765> は7月19日に、2020年3月期第1四半期決算を発表した。売上高17.30億円(前年同期比3.2%減)、経常利益5.95億円(同3.0%減)と、前期までの増収増益から転じて減収減益になった。ただ、当期利益は4.04億円(同0.7%増)と増益を維持した。決算説明会で同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)は、「市況の影響を受ける事業が収益の足を引っ張った。しかし、ファンドデータビジネスは前期比45%増と好調を維持。公募投信市場が6000億円の資金流入から一転して資金流出となる大きな市況変動にもかかわらず、最終利益で増益が維持できたのは健闘といえる」と振り返り、今後の事業戦略を語った。
 
 100%子会社のSBIアセットマネジメントの業績が、売上高6.43億円(前年同期比35.3%減)、経常利益1.37億円(同28.8%減)と大きく落ち込んだ。運用資産残高が2018年6月末の2904億円から19年6月末に2387億円へと17.8%減になったためだ。
 
 また、ウェブ広告などを含むメディア・ソリューションが、売上高1.33億円と前年同期比43.6%減収になった。朝倉氏は、「新規ファンドをどんどん設定していこうという動きになり難く、広告収入の回復は期待しにくい。半面で、セミナー事業は好調を持続している。ニーズが高まっているセミナーは、市況の変動の影響も小さい。セミナー増収によって市況の影響を受けにくい収益体質にしたい」と語っていた。
 
 一方、事業の柱であるファンドデータについては、タブレット端末向けのデータ提供が売上高1.17億円と前年同期比27.4%増収。また、スマートフォンとPC向けのデータが2.27億円と66.1%増収。ロボアドを含む資産運用ツールの売上も16.1%増収と揃って好調で合計3.96億円と前年同期比45%増収になった。
 
 タブレットアプリの提供社数は18年6月末139社から19年6月末は320社へと2.3倍に伸び、提供台数は約7.8万台になった。「タブレットアプリの普及に伴って、タブレット採用金融機関のHP等でもモーニングスターのファンドデータを提供するようになっている」とタブレットアプリの浸透が、ファンドデータビジネスの成長エンジンになっているという。また、IFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)向けには導入社数が前年同期末比約5倍と大幅に拡大している。
 
 この第1四半期の決算を受けて同社は2つの取組みを行った。1つは、アセット・マネジメント事業の中間持株会社「SBIアセットマネジメント・グループ」を100%子会社で8月1日付で設立し、傘下の運用子会社を一元管理する。中間持ち株会社の傘下には、SBIアセットマネジメント(持ち株比率100%)、Carret社(同67%)、モーニングスター・アセット・マネジメント(同100%)、SBIオルタナティブ・インベストメンツ(同100%)という支配下の運用会社を置くとともに、SBIボンド・インベストメント・マネジメント(同10%)、SBI地方創生アセットマネジメント(同10%)というSBIグループの運用会社も入る。
 
 朝倉氏は、「アセット・マネジメント事業は投資資産を分散する必要がある。SBIアセットマネジメントは中小型日本株の運用に特長があるが、ここに、米国債券の運用に強いCarret社、そして、債券運用中心のSBIボンド・インベストメントが加わることで、株式と債券のバランスがとれる。加えて、金融機関など機関投資家の資金を受託する私募投信は安定度が高いが、ここにはCarret社やSBIオルタナティブ、また、SBI地方創生アセットが対応する。資産分散とともに、公募・私募の両面で事業を展開することで、アセット・マネジメント事業の安定度は増す」と再編の狙いを語った。
 
 さらに、連結子会社のFIGS社、イー・アドバイザー、MSクレジットリサーチを統合して10月1日からイー・アドバイザー(存続会社はFIGS)として新発足させる。新会社はAI(人工知能)を用いた個人投資家向けの投資助言や投資情報の提供を行う。朝倉氏は、「企業型確定拠出年金(DC)の従業員向けに、投資助言は大きな成長性がある。充分な金融知識もないままに自分自身で運用商品を決めなければならない企業型DCは、自分の運用方針は間違っていないのか誰かに確かめたいというニーズがある。投資助言は企業のDC担当者も運営管理機関もできない。第三者で投資顧問免許のある専門家のサポートが必要だ。米モーニングスターは、401Kの投資助言業務で大きな成長を遂げた。そのノウハウも生かしてiDeCo(個人型確定拠出年金)も含むDC向けの助言サービスを広く展開したい」と語っていた。