ドル円は緩やかに上昇し、欧州時間には108円96銭までドル高が進む。過度の利下げ観測の後退と、先週末の雇用統計の結果を引きずり、米長期金利の上昇もドル高をサポート。ユーロドルは再度1.12突破を試みたものの抜けきれず。値幅も14ポイント程度とユーロ安が進む割には小動き。ポンドが急落。「合意なき離脱」を巡る議会の混乱で1.2438前後まで売られ、約半年ぶりの安値を記録。

 株式市場はまちまち。ダウは3日続落したが、S&P500とナスダックは反発。債券相場も3日続落。長期金利は2.06%台まで上昇。金と原油は上昇したが、いずれも上昇幅はわずか。

ドル/円   108.73 ~ 108.93
ユーロ/ドル 1.1200 ~ 1.1214
ユーロ/円  121.85 ~ 122.06
NYダウ   -22.65 → 26,783.49ドル
GOLD   +0.50  → 1,400.50ドル
WTI    +0.17  → 57,83
米10年国債 +0.017 → 2.065%

本日の注目イベント

豪  豪7月ウエストパック消費者信頼感指数
中  中国6月消費者物価指数
中  中国6月生産者物価指数
英  英5月鉱工業生産
英  英5月貿易収支
米  FOMC議事録(6月18-19日分)
米  ブラード・セントルイス連銀総裁講演
米  パウエル・FRB議長、下院金融委員会で証言
加  カナダ中銀政策金利発表

 ドル円は引き続き緩やかな上昇をみせ、欧州時間には108円96銭までドルが買われ、その後のNY時間でも109円台乗せはなかったものの、108円台後半で堅調に推移しています。「市場の利下げ観測が前のめりだ」とのコメントは何度か書きましたが、足元の動きは過度の利下げ期待が修正されている過程にあるようです。市場全体の動きは、さすがにパウエル議長の議会証言を控えていることで小動きですが、焦点は何と言ってもパウエル議長の発言内容にかかっているということです。議長が今月の利下げ以降の金融政策に、引き続き緩和姿勢を見せるか、あるいは、それ以降は一旦ニュートラルに戻すのかといった点がポイントになります。

 投資家も議長の言葉から、その次の行動のヒントを探る姿勢を強めることになります。議会証言は日本時間23時からの予定になっていますが、本日はさらに6月のFOMC議事録も公表されます。ここでは利下げは見送られましたが、その決定も全会一致ではなかったこともあり、その内容次第では為替に影響が出ることも予想されます。

 フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、6月のFOMC会合で決定された政策金利据え置きを支持していると、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は同総裁とのインタビューの内容を報じています。同総裁は、「現時点では、どちらの方向にも金利を動かす差し迫った必要性はないというのが私の見解だ」と述べ、その理由として、「米経済の力強さは続いている。労働市場もなお極めて力強い」と語っています。(ブルームバーグ)因みに、ハーカー総裁は今年のFOMCでの投票権は持っていません。

 ホワイトハウスから断続的に利下げ圧力と、パウエル議長自身にも政治的圧力がかかる中、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は9日、CNBCとのインタビューで、「パウエル議長を解任させようという試みはない」と発言し、「中央銀行の独立性を支持している」との立場を表明しています。ただその中でも、昨年12月の利上げを「取り消すよう」求めているようです。もっとも、この利上げに関してはFOMCメンバーの中にも「拙速」だったとする意見もあり、見方は別れています。

 市場で再びドル高傾向が強まったことに関して、「1週間で状況がこれほど変わるものか」といったコメントが、為替市場でかなりアクティブな外銀の担当者から聞こえてきました。G20での米中首脳会議とその後の米雇用統計を経て、市場のセンチメントも、米景気の先行きに対して楽観的な見方に変わりつつあります。ただそれでもドル円については、直ぐに110円台を回復する地合いでもなさそうです。110円台を回復してさらに上昇するには、米経済の力強さを示すさらなるデータが不可欠だと考えます。今後ある程度の時間を経過し、その中で米国の優勢性が確認できれば、市場のセンチメントもさらにドル高を予想する姿勢に変わってくる可能性がありますが、それにはまだ時間がかかりそうです。

 本日のドル円はややワイドに予想しますが、109円台に乗せる場面があったとしても、そこから一段と上昇する相場ではないと予想しています。ということで、レンジは108円30銭~109円30銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)