ドル円は続伸。特段材料はなかったものの、金利の上昇に108円81銭まで買われ、約1カ月ぶりのドル高に。ユーロドルも徐々に上値を切り下げたが、1.12台は割り込めず前日と同じ展開に。株式市場は続落。パウエル議長の議会証言を控え投資家は慎重な姿勢を見せる中、売りが優勢となりダウは115ドル安。債券相場は小幅ながら続落。長期金利は2.04%台へと上昇。金は小幅に続落し、原油は続伸。

5月消費者信用残高       → 170.9億ドル

ドル/円   108.52 ~ 108.81

ユーロ/ドル 1.1207 ~ 1.1227
 
ユーロ/円  121.74 ~ 121.97

NYダウ  -115.98 → 26,806.14ドル

GOLD   -0.10   →1,400.00ドル

WTI   +0.15  → 57,66

米10年国債+0.014 → 2.048%


本日の注目イベント

米  ブラード・セントルイス連銀総裁講演
米  ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
米  クオールズ・FRB副議長講演
加  6月住宅着工件数
加  5月建設許可件数

 昨日の東京タイムでは株価の下落に歩調を合わせ、ドル円もジリ安となり、108円28銭前後まで売られましたが、その後の海外市場ではドルが上昇に転じ、NY市場では約1カ月ぶりとなる108円81銭までドル高が進みました。昨日の海外では特段ドルを買い戻す材料はなかったものの、先週末の雇用統計の影響を引きずっていることと、米長期金利が若干上昇したことが手掛かりになっていると思われます。

 報道されているように、イランはウラン濃縮度が2015年の核合意で定められた規定上限を超えたと発表し、さらに濃縮度を20%まで引き上げる可能性もあると警告しています。核兵器への転用が可能になるウラン濃縮度は90%以上とされているため、直ちに核攻撃などのリスクが高まったわけではありませんが、トランプ大統領は「イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない」と発言し、ペンス副大統領も、「トランプ大統領の下、米国はイランが核兵器を保有することを決して許すことはない」と語っています。(ブルームバーグ)米国はすでにイランに対する制裁措置を実施していますが、さらに追加の制裁措置が近く発表されるものと思われます。先月末には朝鮮半島非武装地帯の板門店で電撃的な米朝首脳会談が持たれ、朝鮮半島の地政学的リスクが後退したばかりでしたが、「一難去ってまた一難」といった状況です。

 ただそれでも市場はそれほど指し迫った緊張だとは認識していないようで、昨日のNY市場では安全資産の債券が売られ、安全通貨の円も売られる展開でした。原油価格と金は引き続き高水準で推移しており、この部分でイラン情勢の緊張をかい間見ることはできますが、まだリスクオフを加速させているわけではありません。明日のパウエル議長による議会証言が控えていることも、動きを鈍くしていると思われますが、市場の関心は、やはり今後の米金融政策の方向性に集まっていると思われます。議会証言では、今月末のFOMCでの政策変更に関する何らかの言及があると予想されています。良好な雇用統計を受け、「0.5%の利下げ」の目は既になくなったと思われ、「0.25%の利下げ」で決まりかと思います。そして市場はさらにFRBの次の動きを模索することに集中し、年内あと何回利下げが行われるのかを予測し始めます。また、トランプ大統領が再三FRBに対して利下げ圧力をかけていることもあり、議会では「金融政策の独立性」を巡って質問が出る可能性もあります。「政治的圧力には一切屈しない」といったコメントも予想されますが、そうなると再びトランプ大統領の反感をかうことにもなります。仮に、パウエル議長の任期満了前にパウエル氏を解任したら、トルコのエルドアン大統領と同じ失態を演じたことになり、歴史に名を残すことになります。

 ドル円は108円台後半まで上昇したことで、「日足」よりも短いチャートでは全て「雲抜け」を完了しており、底堅い動きになって来ました。引き続き、ドルの戻り売りのスタンスが有効かとは思いますが、その水準には慎重さが必要になっています。予想レンジは108円30銭~109円10銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)