ドル円は底値を探る展開が続き、昨日の東京時間に106円77銭前後まで下落。NY市場では107円台半ばまで値を戻す場面もあったが上値は重く、107円20銭前後で取引終える。ユーロドルはやや値を戻したものの、1.13台半ばから後半で推移。

 株式市場は下落。パウエル議長が米景気の下振れリスクが強まったとの認識を示したことでダウは179ドル安。債券相場は続伸。長期金利は引け値で2%を割り込み、1.98%台で取引を終える。金は小幅ながら4日続伸。原油価格は反落。

4月FHFA住宅価格指数    → 0.4%
4月ケース・シラ-住宅価格指数 → 2.5%
6月リッチモンド連銀製造業指数 → 3
5月新築住宅販売件数      → 62.6万件
6月消費者信頼感指数      → 121.5

ドル/円   106.84 ~ 107.40
ユーロ/ドル 1.1345 ~ 1.1399
ユーロ/円  121.65 ~ 122.04
NYダウ   -179.32 → 26,548.22ドル
GOLD   +0.50   → 1,418.70ドル
WTI    -0.07   → 57.83ドル
米10年国債 -0.029  → 1.985%

本日の注目イベント

独  7月GFK消費者信頼感
英  カーニー・BOE総裁らが議会証言
米  5月耐久財受注

 ドル円は昨日の東京時間の午後、107円を割り込み一時は106円77銭前後までドル安が進みました。米国がイランの最高指導者と外相などに発動した追加制裁に対して、一部メディアがイラン外務省のコメントを伝え、その中で「イランの指導者と外交の最高責任者に対する無益な制裁は、米政府との外交の道筋が永遠に閉鎖されたことを意味する」と内容を伝えたことで、ドル売り円買いが強まりました。ドル円はその後107円台に戻しましたが、依然としてドルの上値は重く、ドル円との相関が強い長期金利が再び2%を割り込んだことで円を買う動きが優勢になっています。

 先週火曜日はまだ108円台半ばで推移していたドル円は、1週間で大台を2つ変えています。動きとしてはやや速過ぎる印象ですが、ドルが反発するきかっけをつかめないのが実情で、ここまで来ると105円を割り込むのかどうかと言った点が焦点になってきそうです。米金利が着実に低下している中、日米金利差の縮小を手掛かりに円高が進んでいる面もあります。黒田日銀総裁は「必要ならちゅうちょなく追加緩和を検討する」と、先週の記者会見の席で述べていましたが、円金利の低下余地は限られています。市場もその辺りの事情を理解していると見えて、円買いの手綱を緩めようとはしません。

 パウエル議長が先週のFOMC後の記者会見に続いて、昨日はNYの外交問題評議会で講演を行いました。議長は、「多くのFOMC参加者は、さらに幾分か緩和的な政策の論拠が強まったと判断している」と、FOMC後の会見内容を繰り返しましたが、さらに、「貿易に関してあったようにみえた進展が不確実性の深まりに転じ、入手するデータは世界経済の強さに対する懸念を再燃させており、相反する流れが再び生じている」と述べ、米景気の先行きに慎重な見方を示しました。

 またこれまでトランプ大統領の再三にわたる批判に対しても明確な反論を避けていましたが、この日は、「米金融当局は短期的な政治的圧力からは守られている。これは、しばしば当局の独立性と言われる」と指摘し、「議会は米金融当局をこうした方法で守る選択をした。政策が短期の政治的利害に屈することでしばしばダメージが生じたことが理由だ」と、トランプ大統領を名指ししなかったものの、あらためてFRBの独立性を強調したとブルームバーグは論じています。この日は、ミネアポリス連銀総裁やセントルイス連銀総裁も利下げの必要性を述べていましたが、セントルイス連銀のブラード総裁は「0.5%の利下げは行き過ぎだ」との見解を示しています。

 米中首脳会談の開催を前に、ライトハイザーUSTR代表らと劉鶴中国副首相が事務レベルの会合を行うことになっていますが、29日に予定されている首脳会談までにどの程度合意に向けた話し合いがなされるのか不透明です。ただ今朝の報道では、米中両政府が通商協議再開に向けて準備を進める中、米国は中国からの輸入品3000億ドル(約32兆1500億円)相当への関税賦課を保留することに前向きだとする内容を、ブルームバーグは事情に詳しい複数の関係者の話しとして伝えています。中国側が大幅な譲歩を示していることと無関係ではないと思いますが、米中首脳会談での最も重要な課題の一つであるだけに、もしこのような方向で話し合いが進むのであれば、市場に極めて好印象を与えることになります。会談まで残すところあと3日です。今後もこの種のニュースが相場を動かすことになるでしょう。

 本日のドル円は106円70銭~107円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)