ドル円は下げ足を早め107円21銭までドル安が進む。FRBが緩和姿勢を強めたことに加え、イランが米国のドローンを撃墜したことで緊張が高まり円買いを加速。ドル安の流れはユーロにも波及し、ユーロドルは1.1317までユーロ高が進む、

 株式市場は大幅高となり4日続伸。FOMCで政策金利の引き下げの可能性が示唆されたことで株価の上昇に勢いが。ダウは249ドル上昇し、S&P500も27ポイント上昇し、最高値を更新。債券相場も続伸。長期金利は一時2%を割り込み、1.97%台まで低下。急速な低下に警戒感も出て、引けは2.02%台まで戻す。

 米国とイランとの緊張の高まりから金価格は急騰。前日比48ドル上昇し、約5年9カ月ぶりの高値となる1396ドル台に。原油価格も大幅に上昇し、56ドル台に乗せる。


経常収支(1-3月)       → -1304億ドル
新規失業保険申請件数       → 21.6万件
6月フィラデルフィア連銀景況指数 → 0.3
5月景気先行指標総合指数     → 0.0%

ドル/円   107.21 ~ 107.76
ユーロ/ドル 1.1271 ~ 1.1317
ユーロ/円  121.08 ~ 121.81
NYダウ   +249.17 → 26,753.17ドル
GOLD   +48.10  → 1,396.90ドル
WTI    +2.89   → 56.65ドル
米10年国債 +0.005  → 2.028%

本日の注目イベント

日  5月消費者物価指数
独  独6月製造業PMI(速報値)
独  独6月サービス業PMI(速報値)
欧  ユーロ圏6月総合PMI(速報値)
欧  ユーロ圏6月製造業PMI(速報値)
欧  ユーロ圏6月サービス業PMI(速報値)
米  5月中古住宅販売件数
米  ブレイナード・FRB理事講演
米  メスター・クリーブランド連銀総裁講演
加  カナダ4月小売売上高


 ドル円は前日のFOMC前の水準から1円を超える円高に振れています。前日は、FOMCの声明文とその後のパウエル議長の発言で一旦は108円を割り込んだドル円でしたが、その後は108円台前半で東京市場に戻ってきました。しかし昨日は東京市場が開くと同時に円高が加速しました。米長期金利が2%を割り込んだことで。ドル売り円買いが進み、これまでサポートとして機能していた107円80-90銭の水準をあっさり割り込みました。個人的にはこのレベルでもう少しもみ合うと予想していましたが、米金利の急低下を前に無力でした。

 東京時間では株価が緩やかに上昇する一方、円高の流れは止まらず、これまでのように株価は上がればドルが買われる展開とは異なり、夕方にかけては107円台半ばを割り込む水準まで円高が進みました。3時半から始まった黒田日銀総裁の記者会見にかけては一旦107円70-80銭まで反発しましたが、NY時間ではイランによる米ドローン撃墜のニュースに再び円が買われ、107円台前半までドル安が進んだ展開です。G20で米中首脳会談が実施されることで、貿易戦争に歯止めがかかるかもしれないといった期待感も出てきた矢先での緊張の高まりです。

 ホルムズ海峡での緊張の高まりから、原油価格は急騰し、金も大幅に上昇しています。通常このような時にはリスク資産である株式も売られる傾向にありますが、昨日は株式が大幅な上昇をみせています。金利低下が鮮明になったとはいえ、多くの市場がリスクに対する構えをみせている状況の中で、株価だけが無風といった現象には危ういものがあると思われます。米金利が低下する中、何かのきっかけで株価も下落基調に転じたら、円高がさらに進むことも予想されます。

 これまでも米中貿易戦争、 米長期金利低下、イラン問題など、ドル円では下方リスクの方が高いと指摘してきましたが、ドルが上昇するきっかけが見つからないのが現実です。来週の米中首脳会談で米中が劇的な合意に達するようであれば、ドルが急反発する可能性がありますが、それは期待できません。「必要ならばちゅうちょなく追加緩和を検討する」と述べた黒田総裁の言葉も、これまでの繰り返しで市場へのインパクトはありません。もっとも、「為替レートは金融政策の目標にしていない」とも述べていることから、円高を阻止するといった考えはそもそも持ち合わせてはいません。またマイナス金利の深堀や市場介入といった行動を取った場合、米財務省から「為替操作国」と認定されるリスクもあるため、安易には動けないといった事情もあります。

 本日は107円を割り込むかどうかが一つの焦点ですが、割り込むようだと円高がさらに加速し、1月3日の「フラッシュ・クラッシュ」でつけたレベルも視野に入ってくるかもしれません。予想レンジは106円70銭~107円70銭程度をみます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)