ドル円はメキシコへの関税見送りを材料に108円67銭まで上昇。その後NYマンハッタンにヘリが墜落したとの報道に108円33銭まで下落し、108円台半ばで引ける。ユーロドルは1.13を挟む展開となり小動き。株式市場は主要3指数とも揃って続伸。ダウは78ドル高と6日続伸し、2万6000ドルの大台を回復。債券相場は反落。長期金利は小幅に上昇し、2.14%台に。金は利益確定の売りに押され大幅安。原油も在庫増加観測から反落。


ドル/円 108.33 ~ 108.67

ユーロ/ドル 1.1291 ~ 1.1324
 
ユーロ/円 122.62 ~ 122.85

NYダウ +78.74→ 26,062.68ドル

GOLD   -16.80 →  1,329.30ドル

WTI  -0.73 → 53.26ドル

米10年国債  +0.067 → 2.148%


本日の注目イベント

英 5月失業率
米 5月生産者物価指数

 米債券相場がやや下落したことで長期金利が小幅に上昇し、さらにメキシコに対する関税見送りの効果もあり、ドル円は堅調に推移しました。NYでは108円67銭までドル高が進みましたが、トランプ大統領が再び中国に対して圧力をかけたことでドルの上値は重い展開です。

 トランプ氏は10日ホワイトハウスで、「中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある」と、これまでの主張を繰り返し「25%よりはるかに高い」可能性にも言及しました。また、CNBCとのインタビューでも、「習主席はG20に参加すると理解している。われわれは会談することになるだろう。それに、主席と私はすばらしい関係にある。実際のところ、驚くべき、偉大な人物だ。非常に強くて賢い。だが主席は中国のため、私は米国のために仕えている」とも述べています。そして最後に、「中国は取引せざるを得なくなるため、それに応じるだろう」と語っています。(ブルームバーグ)今回の発言はやや過激でしたが、一方で習主席に対して友好的な言葉も発していることから、現時点では市場への影響もほとんどないようでした。

 トランプ氏はまた、FRBに対する批判も繰り返しています。今回は、中央銀行を支配下に置いている中国首脳と比較しながらの批判でした。「中国の金融当局を率いているのは習近平国家主席だ」と発言し、中国人民銀行は米金融当局と異なり、政治的に独立していないため、主要な政策決定において習主席や政府首脳部の承認を要すると述べ、米金融当局に対して、「米国にはその優位性はない。当局が利下げをしないからだ。当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた」とし、「米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ」と言い放っています。(ブルームバーグ)トランプ氏のFRB批判は今に始まったわけではありませんが、今回の発言内容には「有害」(Disruptive)といった言葉が含まれており、批判のボルテージを上げています。

 今月28-29日に大阪で開催される「G20」は、上述のように、米中首脳会談が行われる予定ですが、まず実施されるのかどうかという点と、その内容に世界の注目が集まります。仮に会談が持たれない場合には、中国からの全輸入品に対して25%の関税、あるいはそれ以上の関税がかかることになります。先週末のメキシコとの例もあり、直前に回避されることも無いとは言えませんが、厳しい状況であることに変わりはありません。IMFは先週、米中貿易戦争が激化した場合、「2020年の世界経済は0.5ポイント、中国は1.0ポイント、米国でも0.2ポイント成長が下押しされる」との試算を発表しています。

 このような状況の中でも、ドル円は108円台での推移です。107円台後半が底堅く、米長期金利の低下にもそれほど円高が進まないのは、急騰している米国株の影響によるものと機関投資家を中心に「外もの」への投資が高水準であることが要因だと考えています。ただそれにも限界があろうかと思います。その前に米中貿易戦争に収束する気配が見られることが望まれます。本日のドル円は107円80銭~108円60銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)