ドル円は朝方109円17銭前後まで売られたが、その後は株価が下げ幅を縮小したことや、ユーロドルでドル高が進んだことから109円70銭まで上昇。ユーロドルは1.1124まで下落。欧州委員会がイタリア政府に対し、財政規律違反を巡る是正手続きに着手するとの報道からユーロ売りが強まったが1.10台は維持。株式市場は大幅に続落。米中貿易協議の見通しが立たず、中国がレアアースを報復手段にするとの報道が悪材料に。ダウは一時2万5000ドルを割り込む場面もあったが、引け値は221ドル安と、大台はキープ。債券相場は小幅ながら続伸。長期金利は2.26%台と、ほぼ横ばい。金は3日ぶりに反発し、原油は反落。

5月リッチモンド連銀製造業指数     → 5 

ドル/円 109.19 ~ 109.70

ユーロ/ドル 1.1124 ~ 1.1157
 
ユーロ/円 121.57 ~ 122.10

NYダウ -221.36   → 25,126.41ドル

GOLD   +3.80 → 1,286.30ドル

WTI  -0.33 → 58.81ドル

米10年国債  -0.005 → 2.260%

本日の注目イベント

米  1-3月GDP(改定値)
米  新規失業保険申請件数
米  4月中古住宅販売件数成約指数
米  クラリダ・FRB副議長講演

 米中貿易問題が行き詰まりを見せるなか、中国政府はレアアースを報復措置の手段とすることに言及。これが材料視され、米国株が連日の大幅安となり、ドル円も109円台は維持したものの、東京時間では109円15銭近辺まで円高が進む場面がありました。

 中国政府は、「レアアースは米国に対する対抗手段となるだろう」と指摘し、人民日報は論説で、「米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない」と主張しています。米国は、電気自動車やデジタル家電に欠かせないレアアースの8割ほどを中国から輸入しています。ただ実際に中国が米国への輸出を停止すれば、自国の企業にも副作用があり、簡単には禁輸に踏み切れないだろうとの見方が一般的なようです。それでも米中貿易戦争は行き詰ったというよりも、このところはエスカレートしており、金融市場は「米中貿易問題一色」といった様相になっています。

 米財務省は半期に一度の為替報告書を公表し、中国を監視リストに指定したものの、「為替操作国」と認定することは見送りました。監視リストには「対米貿易黒字、経常黒字、一方的な為替介入」の3つの条件から判断しているようですが、日本やドイツ、韓国なども監視リストに入っています。「為替操作国」に認定されると経済制裁などが発動され、今後の貿易取引にも大きな影響がでる可能性があります。

 ドル円は今回の下落局面でも109円割れは回避しています。ドルの上値が重いのは事実ですが、109円近辺では底堅い動きを見せています。昨日のNY市場では株価が大きく続落し、ダウは一時2万5000ドルの大台を割り込む場面もありました。ただ昨日は前日と異なり、米長期金利の低下がそれほど進まなかったことで、ドル円の下落も限定的となり、対ユーロでドル高が進んだことから109円70銭までドルが買われたものと思われます。

 注意したいのは米長期金利の動きです。昨日は2.22%まで低下し、2.0%割れを指摘する声も出てきました。3カ月物Tビル(財務省短期証券)とのスプレッドも最大で13bpに広がり、「逆イールド」が拡大しています。フェデラルファンド(FF)金利先物動向では、FOMCが2020年末までに3度の利下げを行う可能性を市場は完全に織り込んでいます。(ブルームバ-グ)日本の長期金利も昨日はマイナス0.10%まで低下し、2カ月ぶりの低水準を記録しましたが、今後の金利低下余地は米国債の方が大きいことは明白で、米中戦争が長期化すれば、日米金利差は徐々に縮小すると予想されます。従ってドルの上値も限定的となり、緩やかな円高が続く可能性も排除できません。

 大阪で行われる「G20」まで、まだ1カ月もあります。なかなかドルが浮上するきっかけが見つからないのが現状で、ドル円がどこまで粘り腰を続けられるのかといった状況です。本日のドル円は109円20銭~109円90銭程度のレンジを予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)