生化学工業 <4548> は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は薬価改定影響や受取ロイヤリティー減少などで減益だった。20年3月期も薬価改定・為替影響などで売上高が微減収となり、原価率上昇や基幹業務システム更新費用など販管費増加で減益予想としている。株価は安値圏でモミ合う形だが、20年3月期減益予想を織り込んで調整一巡を期待したい。
 
■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー
 
 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel-One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO-3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ-FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。
 
 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。
 
 19年3月には単回投与の関節機能改善剤HyLinkを、伊MDM社を通じてイタリアで販売開始した。伊MDM社は複数回投与の関節機能改善剤SUPARTZも販売している。
 
■新薬開発は糖質科学分野に焦点
 
 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI-613(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を対象としたSI-613-ETP、ドライアイ治療剤SI-614(修飾ヒアルロン酸)、癒着防止材SI-449(コンドロイチン硫酸架橋体)がある。
 
 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603は、日本では18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬 <4521> が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI-6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から開発・販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。
 
 なお米国で実施したSI-6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床の追加試験を開始している。
 
 変形性膝関節症治療剤SI-613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業 <4528> と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結している。小野薬品工業から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。日本では20年前半の承認申請を目指している。また17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象としたSI-613-ETPの後期第2相臨床試験を開始した。
 
 なお19年2月には、小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性膝関節症治療剤ONO-5704/SI-613の第3相臨床試験において、変形性膝関節症を対象とした検証的試験で良好な結果を得たと発表した。そして20年前半の承認申請を目指すとしている。
 
 ドライアイ治療剤SI-614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。癒着防止材SI-449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。
 
■20年3月期は原価率上昇や販管費増加で減益予想
 
 19年3月期の連結業績は、売上高が18年3月期比5.9%減の283億84百万円、営業利益が31.3%減の9億77百万円、経常利益が46.3%減の28億59百万円、純利益が42.8%減の22億44百万円だった。配当は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、配当性向は65.4%となる。
 
 研究開発費は減少(15.0%減の71億48百万円)したが、薬価改定影響などで売上高が減少し、売上原価率も上昇して営業減益だった。経常利益と純利益は営業外収益における受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響した。事業別売上高は、医薬品事業が9.7%減の218億93百万円(国内医薬品が12.2%減の141億61百万円、海外医薬品が8.5%減の65億11百万円、医薬品原体が21.4%増の12億20百万円)で、LAL事業がエンドトキシン測定用試薬の好調推移で9.4%増の64億91百万円だった。
 
 20年3月期連結業績予想は売上高が19年3月期比0.5%減の282億50百万円、営業利益が59.1%減の4億円、経常利益が19.6%減の23億円、純利益が10.9%減の20億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は73.3%となる。
 
 SI―613臨床試費用減少などで研究開発費は減少(4.9%減の68億円)するが、薬価改定・為替影響などで売上高が微減収となり、売上原価率の上昇、基幹業務システム更新費用やヘルコニア市販後調査費用など販管費増の加で減益予想としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高約1億10百万円、営業利益約55百万円としている。営業外収益では受取ロイヤリティー、特別利益では投資有価証券売却益を見込んでいる。
 
 事業別売上高の計画は、医薬品事業が1.3%減収(国内医薬品1.1%減収、海外医薬品2.1%増収、医薬品原体22.1%減収)で、LAL事業が2.4%増収としている。
 
■株価は調整一巡期待
 
 株価は安値圏でモミ合う形だが、20年3月期減益予想を織り込んで調整一巡を期待したい。5月27日の終値は1247円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS35円46銭で算出)は約35倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約708億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)