東京時間で110円を割り込み、109円91銭まで円高が進んだドル円は上値の重い展開が続く。本日から米中協議が再開されるとの期待から110円27銭まで反発したものの、110円05-10銭まで押し戻されて取引を終える。ユーロドルは引き続き1.12を挟んでもみ合い。1.12台に乗せると売られる展開が続く。ダウは小幅に上昇してようやくプラス圏で引けるが、他の主要指数は続落。前日の大幅下落は止まったものの、売り買いは交錯。債券相場は反落。長期金利は2.48%台へ小幅に上昇。金は4日ぶりに反落し、原油は反発。

ドル/円 109.98  ~110.27

ユーロ/ドル 1.1183 ~ 1.1214
 
ユーロ/円 123.15 ~ 123.52

NYダウ  +2.24   → 25,967.33ドル

GOLD   -4.20  → 1,281.40ドル

WTI  +0.72 → 62.12ドル

米10年国債  +0.027 → 2.484%

本日の注目イベント

日  菅官房長官訪米
中  4月消費者物価指数
中  4月生産者物価指数
米  4月生産者物価指数
米  3月貿易収支
米  新規失業保険申請件数
米  ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
米  エバンス・シカゴ連銀総裁講演
加  3月貿易収支

 ドル円は昨日の東京市場で株価が大きく売られたことを手掛かりに110円台を割り込み、一時は109円91銭までドル安が進みました。ただ節目の110円を割り込んだものの、警戒感もあり、米中協議の行方も読み切れないことからその後の海外市場ではやや落ち着きを取り戻し、ドルを買い戻す動きが優勢でした。

 昨日のこの欄でも、「今回は本気度が違う」と記述しましたが8日、USTRは10日東部時間午前0時1分に中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)相当に付加する関税率を、10%から25%に引き上げることを正式に官報で通知しました。トランプ大統領はツイッターで、「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」と投稿しています。このままで行くと、余程大幅な中国側からの譲歩がない限り、25%の関税は実施されると思われますが、トランプ氏の言葉から推測すると、可能性は低いものの、まだ逆転劇の余地は残っていると考えています。その中国では商務省が、「貿易摩擦が激化するのは中国の国民および世界の利益にかなわない。中国はこの動きを深く憂慮する」との声明を発表し、「米国が計画する対中関税引き上げが発効すれば、中国は報復措置を取らざるを得ない」と表明しました。(ブルームバーグ)

 昨日ラジオ日経の番組に出演した際に、キャスターの方から「株価の動きを非常に気にするトランプ大統領は、少なくともこのような発言を行えば株価が下がることを予想できたはず。それが何故このような発言を?」といった質問をされました。もちろん、トランプ氏は株価が下がることを予見できたはずですが、米国株は今年1月4日の安値から大きく戻しており、ナスダックとS&P500は史上最高値を更新中でした。多少の株価の下落には耐えられると読んだ可能性があります。また、大統領選をにらんで早めの手を打ったとも言えます。なにしろ、今回の関税引き上げが実施されれば、トランプ氏自身も言っているように、1千億ドルを超える税収が米国に入るわけですから・・・・。ただ、これまでの一連の発言を総合すれば、トランプ氏の背中を押したのは、交渉の最前線で中国側の対応を詳細に見てきたライトハイザーUSTR代表ではないかと考えています。このタフ・ネゴシエイターが、今度は日本側と対峙することになります。

 全ては本日からの米中協議の交渉次第ですが、関税引き上げを中止するに時間が足りないと思います。中国も報復措置を検討しており、全面的に米国の要求を飲むこともないと考えられます。結局、時間切れという形で新関税率適用となり、それでも交渉は継続するという可能性が高いと思われます。中国にとっても、これまで1000円で輸出し、1100円で売れたものが、突然1250円になるとすれば売れ行にも大きく影響し、国内の景気減速を加速することになります。どこかで「落としどころ」を探ってくると予想します。

 ドル円は引き続き上値を抑えられる展開です。すでに110円を割り込んだこともあり、下値のメドはやはり109円50銭~109円70銭辺りと見ています。本日のレンジは109円50銭~110円40銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)