ドル円はアジア市場で110円29銭まで急落したが、徐々に買いが優勢となり、NY時間には110円96銭まで反発。前日、トランプ大統領が中国製品への関税を10日に引き上げることを示唆したことが背景。ユーロドルは1.12をはさんでもみ合い。ドル円が急落したことで、ユーロ円も123円台後半に。株式市場は朝方売り気配で始まり、ダウは470ドルほど下げる。上海株が大きく下げたことでリスク回避の流れが進む。ただその後は急速に下げ幅を縮め、結局ダウは66ドル安で取引を終える。債券相場は急上昇。長期金利は2.46%台まで低下。金と原油はともに続伸。

ドル/円 110.71  ~110.96

ユーロ/ドル 1.1179 ~ 1.1209
 
ユーロ/円 123.91 ~ 124.30

NYダウ -66.47   → 26,438.48ドル

GOLD +2.50  → 1,283.80ドル

WTI +0.31 → 62.25ドル

米10年国債 -0.056 → 2.469%


本日の注目イベント

豪  3月貿易収支
豪  3月小売売上高
豪  RBA、キャッシュターゲット
中  4月外貨準備高
独  3月製造業新規受注
欧  欧州委員会経済見通し
米  3月消費者信用残高

 これまでに経験したこともない10日連続という大型連休も終わりました。天候の方は、関東地方では前半に3日ほど雨の日もありましたが、後半は好天が続き、まずまずの連休でした。相場の方も「予想通り」、大きな混乱はなく、これまでと変わらない「無風」でしたが、最後の最後にやや動きがありました。これも、もし動きがあるとすれば「円高方向」と予想していましたので、それほど驚きはありません。

 再び「トランプ・リスク」が金融市場を混乱させました。トランプ大統領が5日ツイッターに、「中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー!10%(の関税)は金曜日(10日)に25%に上がるだろう」と投稿し、関税引き上げを示唆したことで、昨日のアジア市場では円が買われ、ドル円は一時110円29銭まで売られました。米中通商協議が打ち切られるとの見方から、上海株は5%を超える下げをみせ、一気にリスクオフ・モードが加速しました。ただその後、中国外務省の報道官が「中国の交渉団は貿易協議のため米国に行く準備をしている」と発表したことで、昨日のNY市場ではドルが買い戻され、111円近くまで反発する場面もありました。

 米中通商協議に関して、これまでに何度も「すばらしく進展している」と述べてきたトランプ氏でしたが、ここにきて態度を急変させたのは、やはり2020年の大統領選に向けて早期に「成果」をあげたいということなのでしょう。実質的にはすでに予備選が始まっており、民主党の有力候補は集会で、トランプ攻撃を開始しています。現役大統領が有利とのことのようですが、トランプ氏にとっては中国との貿易赤字解消が最もアピールできる「成果」と思えます。ここで脅しをかけることによって、早期の合意実現を目指したということなのでしょう。今朝の報道では、中国側代表団は予定通り米国を訪問し、9、10日に協議を行うようです。連休中には、北朝鮮が飛翔弾を発射するなど、再び米国をけん制する動きに出ました。北朝鮮が中国だけではなく、ロシアも味方に付けてきたことも、トランプ氏には予想外だったのかもしれません。独特のキャラクターから、EU,メキシコ、カナダ、などを敵に回し、さらにイランからの原油輸入を全面禁止に踏み切りました。「これまでの歴代大統領がなし得なかったことを行った」と自画自賛していたトランプ氏ですが、今のところそのほとんどが未解決のままです。あせりが出るのも、ある意味当然かもしれません。

 110円29銭まで下落したドル円ですが、ここはちょうど「日足の雲の下限」でした。ですから、崖淵で粘り腰を見せたというところで、まだトレンドの転換とは言い切れません。ただ、1月3日のドル安を起点とするサポートラインは完全に下抜けしています。これまでも112円台が重い展開でしたが、しばらくは上値がさらに重い動きになりそうです。110円を維持できるかどうかもポイントの一つですが、まずは今週ワシントンで米中協議が行われるのかどうかと、10日に本当に関税引き上げがあるのかどうかに注目したいと思います。本日の予想レンジは110円20銭~111円20銭程度でしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)