中国の豚肉価格は3月に前年同月比5.1%上昇した。昨年8月に発生した豚コレラ騒動によって、繁殖用母豚の飼育頭数が大きく減少した後だけに、供給不足によって価格が思わぬ高値に上昇する懸念があるという。大和総研経済調査部の主席研究員、斎藤尚登氏は4月26日、「懸念される豚肉価格高騰と実質消費押し下げ」と題したレポート(全1ページ)を発表し、豚肉価格と中国経済の関係を考察した。レポート要旨は以下の通り。

 国家統計局によると、2019年3月の豚肉価格は前年同月比5.1%(以下、変化率は前年同月比)上昇と、26ヵ月ぶりに上昇に転じた。消費者物価上昇率2.3%に対する寄与度は0.12%ptであった。国家統計局は生鮮野菜などいくつかの品目に限定して寄与度に言及するが、豚肉がそれに含まれるのは、価格変動が極めて大きく、物価全体への影響が軽視できないためである。

 前回の豚肉価格の高騰局面では、16年5月に33.6%上昇のピークを付け、CPI上昇率2.0%に対する寄与度は0.8%ptとなった。豚肉と飼料の価格比は6(豚肉):1(飼料)が養豚業者の損益分岐点とされ、これを上回るほど利益が増加し、下回るほど赤字が増加する。前回でいえば、14年1月~15年5月に長期にわたり価格比が6:1を下回り、規模を縮小したり、養豚をやめる業者が増加した。このことは繁殖用母豚の飼育頭数の減少として推移に如実に表れる。繁殖用母豚の補充から交配・出産・肥育には12カ月程度が必要とされ、供給不足(懸念)が豚肉の価格を押し上げるのである。

 今回は、前回以上の豚肉価格の高騰が懸念される。価格比の6:1割れは短期間(18年3月中旬~6月初旬)で収束したが、アフリカ豚コレラの蔓延が養豚業者の飼育意欲を大きく損なっている。アフリカ豚コレラは昨年8月に発生が確認されてから急速に全土に拡大した。19年に入ると繁殖用母豚の飼育頭数は急減し、3月は21.0%減となった。これから来年春にかけて国内の豚肉供給は大きく減少する可能性が高い。中国農業農村部は「豚肉価格は今年後半にはさらに値上がりし、上昇率は70%を超え、過去最高になる」との見通しを示した。これは単月の消費者物価を1.7%pt押し上げる計算となる。消費者物価上昇は実質消費の押し下げ要因となるだけに、今後の動向が注目される。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)