モーニングスター <4765> は4月19日に、2019年3月期通期決算を発表した。売上高60億円(前年同期比0.6%増)、経常利益17.8億円(同1.1%増)と増収増益だった。経常利益は10期連続増益、8期連続で過去最高益を更新した。また、当期利益は12.2億円(同11.0%増)と2ケタの増益となり、10期連続の増配も実現している。決算説明会で同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)は、「19年3月期は国内公募投信の純資金流入額が前期比で約67%減少する厳しいマーケット環境だったが、注力してきたタブレットを中心としたデータ提供など継続的な売上につながるプラットフォーム事業が進展し、増収増益が継続できた」と語り、また、今後の注力分野を説明した。
 
 主要サービスの売上高は、タブレットを通じたファンドデータの提供が3.97億円(前年同期比23.7%増)、タブレット以外(PC、スマホ等)のファンドデータ提供が5.25億円(同13.0%増)と2ケタの増収。株式ファンド分析レポートや株式新聞購読料の減収を補った。また、ウェブ広告やセミナー事業が7.71億円(23.3%増)と伸びた。一方、子会社のSBIアセットマネジメントなどから得られる運用受託報酬は32.24億円(同0.2%減)と減収だった。
 
 最も注力しているタブレットアプリの提供は、提供社数が19年3月期に257社(18年3月末比71.3%増)と拡大。タブレット提供台数は22.7%増で7.3万台を突破した。同アプリは、既に地方銀行104行のうち60行が導入。「ニッキン投信情報」の調査(調査対象:地方銀行、信金等)で「最も優れている(使いやすい・高機能)と評価できる投信販売支援アプリ・システム」として60%という圧倒的な支持を集めている。朝倉氏は、「UI/UXの改善などを通じて提供社数の拡大に注力してきた。まずは数台でも試しに使っていただくと、その利便性を評価していただき、10台~100台など追加で導入していただける。ファンド情報提供のプラットフォームとして引き続きサービスの向上に努めたい」と語った。
 
 また、資産運用セミナーは、参加人数(前期比11.2%増)、協賛会社数(同40.9%増)ともに拡大。従来は東京を中心に開催していたセミナーが19年3月期には福岡、千葉でも開催し、さらに、新年度は北海道、栃木へと広がっている。
 
 一方、子会社SBIアセットマネジメントは、運用残高が18年3月末の3274億円から19年3月末は2426億円へと約26%減になったことで、減収減益だったが、この1年間で取扱い販売会社数は前年度末比26%増の53社になった。
 
 セグメント別の利益では、ファンドデータ提供等のファイナンシャル・サービス部門の利益が10.78億円(前期比2.6%増)に対し、アセットマネジメント部門が5.68億円(同3.3%減)だった。10期連続で増益を達成したことで、同社のROE(自己資本利益率)は12.8%とジャスダック平均4.1%や東証1部平均9.0%を大幅に上回る水準になった。また、自己資本に有利子負債を加えた投下資本に対する税引き後営業利益率(ROIC)は11.8%と東証1部平均6.7%を大きく上回っている。
 
 朝倉氏は、今後に注力する事業領域として、(1)確定拠出年金(DC)における投資教育・投資アドバイスの提供、(2)IFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)への投資アドバイスツール提供、(3)アセットマネジメント事業の強化の3点を挙げた。
 
 確定拠出年金分野では、「米国の投信残高18兆ドル(約2000兆円)のうち、46%は確定拠出年金口座を通じた残高。対して日本は約60兆円の投信残高に対し、確定拠出年金を通じた残高は8%程度に過ぎない。日本における確定拠出年金の成長ポテンシャルは非常に大きい。米国モーニングスターがDC分野への情報提供で大きなシェアを獲得し成長したように、日本においてもこの分野で成長が可能だ」と語った。そして、企業向けのサービスとしてロボ・アドバイザーを活用した投資助言サービスの提供を広げたいとした。「子会社のモーニングスター・アセット・マネジメントが投資助言業のライセンスを持っている。DC採用企業と契約し、従業員に対して投資助言サービスを行うことで、元本確保型に偏っている非効率な運用を変えていくことができる」とした。
 
 また、IFAチャネルは米国では投信の販売シェア26%超を占める最大のシェアを得ているが、日本では普及が未だ進んでいない。ただ、「金融機関の店舗縮小や販売員の削減などの動きがあり、独立してやっていこうという意欲あるFAが増えている。現在IFAをサポートするツールやサービスが求められており、ここをサポートすることによって、IFAチャネルの成長にも貢献したい」とした。
 
 そして、今年2月中旬に買収が完了した米国のCarret Asset Managementについては19年3月期決算には数値が加算されていないが、運用残高が19年3月末に2973億円と順調に拡大。新年度から収益貢献が期待される。また、新たにSBIオルタナティブ・インベストメンツの100%子会社化などを発表した。朝倉氏は、「日本株のアクティブ運用で定評のあるSBIアセットマネジメント、米国債券中心のCarretに加え、新たにオルタナティブ資産の運用子会社をグループに加えることによって、資産運用業務の安定性が高まる。不動産や未公開株などオルタナティブ資産の残高は今後、特に大きな成長が期待される分野であり、グループのアセットメネジメント事業の成長にも期待していただきたい」と語っている。