ドル円は111円を割り込み、一時110円98銭まで下落。米国とEUとの貿易摩擦が激化したことに加え、IMFが世界経済見通しを下方修正したことで、安全通貨の円に買いが集まる。ユーロドルは本日のEU首脳会議を控え小動き。ドルが売られたことで水準をやや切り上げ1.12台半ばから後半で推移。

 株式市場は大幅に続落。トランプ政権がEUへの報復関税を準備しているとの報道からダウは190ドル下げ、他の主要指数も揃って下落。債券相場は小幅に上昇。10年債利回りは低下し、2.50%台に。金は3日続伸。原油価格は直近高値を更新する場面があったものの、引け値では42セント安。

ドル/円   110.98 ~ 111.35
ユーロ/ドル 1.1262 ~ 1.1284
ユーロ/円  125.13 ~ 125.56
NYダウ   -190.44 → 26,150.58ドル
GOLD   +6.40   → 1,308.30ドル
WTI    -0.42   → 63.98 ドル
米10年国債 -0.022  → 2.501%

本日の注目イベント

豪  4月ウエストパック消費者信頼感指数
欧  ECB政策金利発表
欧  ドラギ・ECB総裁記者会見
英  2月貿易収支
英  2月鉱工業生産
米  3月消費者物価指数
米  3月財政収支
米  FOMC議事録(3月19、20日分)

 111円台で安定的に推移していたドル円は、それほど大きな動きではなかったものの、昨日のNYでは一時111円を割り込んでいます。世界景気がさらに鈍化するとの見通しと、米中貿易問題が解決を見ない中、対EUとの貿易摩擦が激化しそうな気配が高まったことで、円買いが優勢の流れとなっています。

 IMFは9日、最新の世界経済見通しを発表しました。IMFは今年1月時点での世界経済成長率を「3.5%」としていたものを、「3.3%」に下方修正しました。その理由としてIMFは、米中貿易協議の決裂の恐れや、英国がEUを合意なく離脱する可能性など、リスクは下向きだと警告しています。その上で、「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」と指摘しています。ラガルドIMF専務理事も、「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」と述べています。

 今回の見通しでIMFは主要国の見通しを、1月時点のものから全て下方修正しています。米国を、「2.5%」から「2.3%」に、ユーロ圏を「1.6%」から「1.3%」に。中国についても「6.4%」から「6.3%」に引き下げ、日本も「1.1%」から「1.0%」に引き下げています。IMFが見通しを下方修正するのは、過去6カ月で3回目ということになります。(ブルームバーグ)

 トランプ政権はEUに対してさらに強気の姿勢を見せています。関税引き上げ戦争の主戦場が中国から欧州に移りそうな気配です。トランプ大統領は、EUのエアバスへの補助金は不当だとして、EUに対して報復関税を準備しているとツイートしました。対抗措置としてEUからの輸入品110億ドル(約1兆2200億円)相当に関税を課す方針を示しました。

 これに対してEU側もすぐさま対抗措置を講じると反発しており、「はるかに大規模な米国への対抗措置」を推し進めるだろうとしています。米中通商協議が最終合意に達する可能性が高まる中、予想されていたとはいえ、新たな混乱要因が出てきたと言えます。関税引き上げ合戦が激化すれば、世界の貿易量が減少します。世界の貿易量との関係が深い「バルチック海運指数」を見ても、昨年7月には「1772」の高水準だったものが直近では「714」と、60%近くも下落しています。IMFが世界経済成長率を下方修正したのもうなずけるというものです。

 本日のEU首脳会議では、英国に認める離脱再延期の長さについて検討されると伝えられています。EUのトゥスク大統領はメイ首相の求める短期間の離脱再延期を拒否しており、1年の延期で意見の一致を望んでいるようです。これまでメイ首相が短期間の延期を提案しても、議会の承認が得られない状況が繰り返されており、膠着状態の打破には1年の期間が必要との見方のようです。

 本日はEU首脳会議での内容が大きな材料です。ポンドドルの動きに、ドル円も影響を受ける可能性があります。日本株の下げも大きくなる可能性があり、ドル円は昨日のNYの底値を試す展開が予想されます。

 レンジとしては110円60銭~111円40銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)