3月の雇用統計が予想を上回る内容だったことで、発表直後にドル円は111円82銭まで上昇。その後は方向感もなく一進一退の展開に。ユーロドルも動きが鈍く1.12台前半から半ばで推移。

 株式市場は続伸。良好な雇用統計を受け、米景気の先行きに対する不安が後退。ダウは40ドル上昇し、ナスダックは46ポイントの上昇で、約5カ月ぶりに高値を記録。債券相場は続伸。長期金利は小幅に低下し、再び2.5%を割り込む。金と原油はともに上昇。原油価格は引け値で63ドル台に乗せる。


3月失業率        → 3.8%
3月非農業部門雇用者数  → 19.6万人
3月平均時給 (前月比) → 0.1%
3月平均時給 (前年比) → 3.2%
3月労働参加率      → 63.0%
2月消費者信用残高    → 151.9億ドル

ドル/円   111.55 ~ 111.82
ユーロ/ドル 1.1210 ~ 1.1248
ユーロ/円  125.23 ~ 125.51
NYダウ   +40.36 → 26,424.99ドル
GOLD   +1.30  → 1,295.60ドル
WTI    +0.98  → 63.05 ドル
米10年国債 -0.020 → 2.495%

 【本日の注目イベント】 

日  2月国際収支
日  3月景気ウオッチャー調査
独  独2月貿易収支
独  独2月経常収支
加  カナダ3月住宅着工件数
加  カナダ2月建設許可件数


 3月の雇用統計では非農業部門雇用者数が注目されていましたが、結果は事前予想を大きく上回る19.6万人でした。2月分についても、2万人から3.3万人に上方修正され、これで米労働市場は依然として拡大基調にあることが確認されました。賃金の方ではやや上昇率が鈍化していたことで、むしろ景気は過熱しておらず、FRBの政策スタンスに影響を与えないとの見方が支配的となり株価は上昇。ナスダック指数は約5カ月ぶりの高値をつけています。ドル円は発表直後にはドル買いが先行したものの、112円を試す動きにはなっていません。経済指標を見るかぎり強弱まちまちで、米景気の後退を窺わせるものもありますが、労働市場の拡大が景気の底堅さを支える構図になっています。

 ワシントンで行われていた米中通商協議では、「合意が近い」との見方に、うまくいけば米中首脳会議の日程発表にまで発展するのではないかとの観測もありましたが、制裁関税の部分では両国の溝が埋まらず、再び持久戦になる見込みです。トランプ大統領は4日、大統領執務室に劉鶴中国副首相を招いて個別に協議し、一時は「米中交渉は進展している。合意の可能性は高く、4週間以内にわかるだろう」と述べていましたが結局、制裁関税の完全撤廃を主張する中国側との溝は埋まらず、今月内に習近平主席と首脳会談を開いて最終合意に達するというシナリオも崩れたことになります。

 3月の雇用統計を無事終えて聞こえてくるのは、「適温相場の再来」という言葉です。FRBは先月のFOMCで、利上げ路線を修正し、今後の経済データをより重視する姿勢を打ち出しました。市場の一部には「利下げ」もあり得るといった見方も出てきましたが、その背景になっているのが、米中通商協議の不透明さや、欧州の景気悪化といった外的要因です。ただ今回の雇用統計では、引き続き労働市場は好調で、賃金上昇もそれほど急激ではありません。

 また、インフレ率を見てもさらに加速する気配はなく、しばらくは政策金利を引き締めもしないし、緩和もしないスタンスが続く「適温相場」ということです。米株式市場が緩やかに上昇し、債券市場でも価格が緩やかに上昇、長期金利が低水準で安定している足元の動きがそれを物語っているようです。米中貿易問題が引き続き予断をゆるさない状況であることは事実ですが、いつ米国側が25%の関税引き上げを決定するかわからいこの状況下では、困るのは中国です。さらに進んだ譲歩を見せていると予想しています。

 ドル円は重要な「日足」の120日線や200日線を上回ってきました。ここまでくると、112円台に乗せる可能性が高まってきたと見られますが、どこまで上値を伸ばせるのか、注意したいところです。ゆっくりですが、予想以上にドルが底堅い動きを見せています。

 本日のレンジは111円40銭~112円程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)