ドル円は2週間ぶりに111円台半ばまで上昇。ISM製造業景況指数が予想を上回り、長期金利が急騰したことが材料に。ドル円は111円44銭まで買われ、この日の高値圏で取引を終える。ドル高が進み、ユーロドルも1.12を割り込み、1.1199まで売られ、約1カ月ぶりのユーロ安水準を示現。

 株式市場は大幅に続伸。中国のPMIが良かったことに加え、ISM製造業景況指数が予想を上回ったことで、世界景気に対する懸念が後退。ダウは329ドル上昇し、約半年ぶりの水準に戻る。債券相場は大幅に続落。長期金利は2.50%台を回復。ドル高が進み金は続落。原油価格は経済指標の好転を手がかりに1.45ドル上昇し、5カ月ぶりに61ドル台半ばまで買われる。

3月ISM製造業景況指数 → 55.3
2月小売売上高(速報値) → -0.2%

ドル/円   110.81 ~ 111.44
ユーロ/ドル 1.1199 ~ 1.1248
ユーロ/円  124.56 ~ 124.88
NYダウ   +329.74 → 26,258.42ドル
GOLD   -4.30   → 1,294.20ドル
WTI    +1.45   → 61.59 ドル
米10年国債 +0.096  → 2.501%

本日の注目イベント

豪  RBA、キャッシュターゲット
豪  2月住宅建設許可件数
日  3月マネタリーベース
欧  ユーロ圏2月生産者物価指数
米  3月自動車販売台数
米  2月耐久財受注

 ドルはポンドを除く主要通貨に対して買われ、ドル円は111円台半ばまで、ユーロドルは1.1199までドル高が進みました。昨日の日本株の上昇もそうでしたが、中国のPMIが節目の「50」を上回ったことが好感され、「リスクオン」の流れを加速させたものと思われます。改めて、中国景気が世界景気に与える影響力を意識せざるを得ません。

 中国のPMIが改善したことに加え、昨日発表された米国のISM製造業景況指数も市場予想を上回る「55.3」と、「50」を大きく超えていました。特に、雇用が3年ぶりの大幅上昇を見せ、3月指数の最大の押し上げ要因になっています。同指数は3カ月連続で低下しており、まだ判断はできませんが、製造業の底入れが近いのかもしれません。いずれにしても、経済規模で世界第1位と2位の米中で経済指標の悪化に歯止めがかかったことは大きな意味があり、世界景気の先行き悲観論がやや後退したと言えます。

 このためNYダウはここ3日間で600ドル以上上昇しており、1月の底値から4000ドル近く買われたことになります。FRBが金融政策の舵を引き締めから中立へ切り直したことも大きな要因ですが、株価を見る限り、ハイテク株を中心に一時の悲観論が大きな修正を迫られている印象があります。

 一方で、ユーロ圏の先行きには依然として慎重な見方を変えるわけにはいきません。ドイツの3月製造業PMI確定値は、速報値からさらに下方修正され「44.1」でした。この数値は、2012年7月以来となる低水準で、ユーロ圏全体の足を引っ張っています。ECBは年内の利上げを断念していますが、この状況では再び大規模な金融緩和が必要との見方も浮上しています。ドラギECB総裁はECBの年次報告書の序文で、「中期的に域内の物価圧力を確実に積み上げていくには、金融政策による大規模な刺激が依然欠かせない」と述べており、「地政学的な要素に関連する不透明性の持続や、保護主義の脅威、新興国市場の脆弱性を踏まえ、ユーロ圏の金融政策運営は引き続き忍耐と慎重さ、粘り強さが求められる」と論じています。(ブルームバーグ)

 ドル円は昨日この欄で述べたように、上値は日足の重要な移動平均線が集まる、111円30-50銭で一旦上昇が止まっています。日米の株価に対する見方がやや楽観的に傾いてきた印象ですが、本日も日経平均株価の上昇が見込まれ、この動きに伴ってどこまで上値を伸ばせるのかが焦点です。すでに3月5日の高値112円14銭から今回の下落幅の「半値戻し」は達成しており、「半値戻しは全値戻し」と言われるように、112円台を試す可能性も出て来ました。

 ただ、米長期金利は戻ったとは言え、2.5%台です。上値については依然慎重なスタンスを維持しています今週末の雇用統計が好調さを維持するようなら、112円台が見られるもしれませんが、ユーロ圏だけではなく、米国にも昨日の小売売上高のように、依然として低調な内容を見せる指標が散見されます。

 本日のドル円は111円~111円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)