■「CADA-BOX」が国の診療データ共有政策の形骸化に希望の光-「PHR」を推進

 メディカル・データ・ビジョン <3902> は3月20日の前場、1197円(17円高)まで上げて再び出直る動きを見せた。病院向けの電子カルテ連結システム「CADA-BOX(カーダ・ボックス)」は、患者自身が診療内容(医療情報)の一部を保管・閲覧できるWEBサービス「カルテコ」と、患者側が自由に支払い条件を設定できる医療費後払いサービス「CADA決済」などを融合した次世代型のシステムで、国の医療行政をバックに、急速に普及拡大する可能性が出てきた。
 
■医療データの一元化など既に約2700万人分の実患者データを運用の実績
 
 3月14日の日本経済新聞・電子版や朝刊一面に、「診療データ共有形骸化、公費530億円投入」という記事が掲載され、波紋を呼んでいる。国は、医療費の適正化と患者の利便性向上を狙い、診療データを医療機関や調剤薬局等で共有する地域医療情報連携ネットワークの整備を促してきた。しかし驚くことに、530億円を超す公費を投じたものの、いまだにその成果が出ていないというのである。
 
■医療情報の連携が進んでいない地域機関に「CADA-BOX」の提案を開始
 
 地域医療情報連携ネットワークとは、病院、診療所、薬局、介護事業所などが持つ情報を一元化する医療情報連携基盤である。2017年6月に発表された「未来投資戦略2017」の一施策である「データ利活用基盤の構築」の一環として整備が進められている。

 政府は、現在の地域医療情報連携ネットワークによってEHR(Electronic Health Recordの略:医療情報連携基盤を意味する)を整え、次のステップとしてPHR(Personal Health Recordの略:個人の健康に関する情報を1カ所に集め、個人はもちろんのこと医療・健康に関する企業や団体に共有する仕組み)を目指したい考えだ。
 
 しかし、そのEHRから頓挫している。地域医療情報連携ネットワークが進まない背景は、「総務省が推進する医療ICT政策について」(総務省:2017年10月)によると、現在のネットワークの多くは一方通行の情報閲覧であること、運用コストが大きいことなどのデメリットに対し、一定のコストを負担してまで病院や診療所が参加するメリットが感じられないことのようだ。
 
 一方で、民間ではすでにPHRを着実に進めている企業がある。メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)だ。同社は、すでに約2700万人分の実患者データ(DPCデータ)を保有している。現在は、「CADA-BOX」という病院向けのシステムを介して、患者が自分自身で診療データの一部を管理・閲覧できる「カルテコ」というサービスを提供するとともに、患者の同意を得た上での新たな診療データを蓄積しつつある。同社は将来的に、クリニックや介護領域を含めた医療データの一元化を目指す計画だ。
 
 奇しくも、同社は、医療情報連携が思うように進んでいない地域医療情報連携ネットワークをターゲットに、「CADA-BOX」の提案を開始するという。「CADA-BOX」の強みは、集患による収入増加、コストダウンなど、医療機関にとっての導入メリットが設計されている点である。さらに、単なるEHR(医療情報連携基盤)にとどまらず、個人が時系列で自身の医療データ等を管理できるPHRまでがかなってしまう。同社によると、いわゆる地域で中核となるような病院の多くはPHRへの理解が高い傾向で、そのような病院からは、「患者と診療情報を共有することは、病院と患者が二人三脚で治療を進めていく上で必要不可欠である」というコメントが出てくるという。
 
 国がPHRを大きく推進しようとしているなかで、既存の地域医療情報連携ネットワークに対する問題提起への機運が高まれば、「CADA-BOX」への注目が集まる。同社の事業環境にとって好機であろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)