2月の雇用統計を受けドル円は急落。非農業部門雇用者数が予想を大きく下回る2万人だったことで、ドル円は110円75銭まで売られる。株安、長期金利の低下もドルの上値を抑える。ユーロドルは引き続き軟調に推移。1.12台前半から半ばでの取引に終始する。

 株式市場はアジア市場の株価の下落と、低調な雇用統計の結果に続落。ダウは22ドル下げ5日続落。債券相場は続伸し、長期金利は2.62%台まで低下。金は反発。原油価格は反落。

8月失業率        → 3.8%
8月非農業部門雇用者数  → 2.0万人
8月平均時給 (前月比) → 0.4%
8月平均時給 (前年比) → 3.4%
8月労働参加率      → 63.2%
1月住宅着工件数     → 123万件
1月建設許可件数     → 134.5万件

ドル/円   110.75 ~ 111.20 
ユーロ/ドル 1.1215 ~ 1.1246
ユーロ/円  124.39 ~ 124.99
NYダウ   -22.99 → 25,450.24ドル
GOLD   +13.20 → 1299.30ドル
WTI    -0.59  → 56.07ドル
米10年国債 -0.011 → 2.628%

本日の注目イベント

独  独1月鉱工業生産
独  独1月貿易収支
独  独1月経常収支
米  1月小売売上高
米  1月鉱工業生産
米  1月設備稼働率
米  米大統領、2020年予算教書を発表

 2月の米雇用統計には驚きました。非農業部門雇用者数が、事前予想の18万人に対して2万人と、大きく減少していました。一方で失業率は3.8%と予想を上回り、平均時給も3.4%(対前年比)と上昇しており、強弱入り混じった結果でした。

 雇用者数が1年5カ月ぶりの小幅な伸びに留まったのは、天候不順や政府機関閉鎖の影響によるものとの分析がありますが、米経済指標の中でも「優等生」だった、労働市場にも景気減速の波が押し寄せてきたのではないかとの懸念もくすぶります。雇用者数の変化は、単月ではなく、3カ月単位で見るほうが、より実態を表していると言われています。1月分と昨年12月分がともに上方修正されたこともあり、直近3カ月の平均で見た場合「18.6万人」となり、労働市場は堅調に推移していると言えますが、今回が特殊要因による異常値だったのかどうかを見極める意味で、3月の雇用統計が重要になると思われます。

 先週末から日曜日にかけては、FRBや、ほぼ終わったかと思われた米中通商協議に関わる報道がありました。パウエルFRB議長は8日、FOMCでのフォワードガイダンスの公表を見直すことを示唆しました。その理由として、ドット・プロット(金利予測分布図)が「時として混乱の元になっている」ことを認め、「付随する混乱に対処するため他の手段をわれわれは見出す必要があるだろう」と発言しました。また米景気については、米国のインフレ率は低位安定し、スラック(たるみ)に過度に反応していないと指摘し、その一方で、西欧と中国、米国を例に挙げて過去半年で世界的に景気が減速したと述べています。「英国のEU離脱や通商政策を巡る先行き不透明感を背景に、見通しへの下向きリスクが増大した」と分析しています。(ブルームバーグ)

 米中貿易通商を巡っては、早ければ今月27日にも米中首脳が直接会談し、その後合意するとの見方でしたが、会談が4月にずれ込む可能性があることが発表されています。また、中国側はこれを契機に米中間のすべての関税を撤廃したい意向ですが、米国側がこれに難色を示しているようです。今朝の報道では、中国人民銀行の易総裁は、輸出を後押しする通貨の切り下げはしないことを表明し、国内の一段の景気減速を避けるためさらなる金融緩和で対応する方針を示しています。(日経新聞)

 ドル円は先週112円台を2度ほど試してその水準を維持できず、110円台後半まで反落しています。現時点では110-112円のレンジを形成しつつある状況かと考えますが、ドルの上値の重さは、やはり相関度の高い米長期金利の低下が効いていると思われます。今後とも米長期金利の動きと、先週末の雇用統計で見たように、景気減速が労働市場にまで影響を及ぼし始めたのかどうかを見極める必要があろうかと思います。

 本日の予想レンジは110円50銭~111円40銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)