先週は、為替も株も変調をきたしました。注意深く見ていきましょう。米ドル円相場については、昨年12月に「円高トレンドに入った」と明言して、円高ターゲット108円を掲げました。今年の年始に終値ベースで107円台を記録したことを受けて1月4日に「円高の波が完成した」とブログで明言しました。その後は、想定通り、非常に緩やかながら円安トレンドが継続しています。そしてそのトレンドがもうだいぶ終盤に差し掛かっていると解説してきました。さて、今週の見通しについて。現状、完全にトレンドが変化した(円高トレンドに転換した)とまでは断定できません。
 
 具体的には、円高トレンドを示す明確なチャート分析上のシグナルが出現するには至っていません。サポート帯は近いところでは111円台前半~110円台後半。これはまさに先週金曜日に下支えされた水準ですが、週明けも引き続き、第一のサポート帯として作用しやすいと考えられます。この第一のサポート帯を突破されても、まだ110円台半ばあたりが比較的強力な第二のサポート帯として控えています。したがいまして、何か大きなイベント・ニュースでもない限り、週明けから一気に下方へブレイクする可能性は低いのではないかと思われます。しばしサポートされることが想定されるとしても、いずれこの110円台のサポート帯を完全に下抜けた場合・・・わりとしっかりした円高局面に入るシナリオが浮上します。まだそうなったわけではありませんが、あくまでもそうなった場合の円高メドを算出しますと、具体的には、108円台に突入する可能性も見えてきます。すなわち、年始の波乱ほどではないにせよ、数円単位の調整局面に入ることも想定されますので、今月これから円高が進んだ場合も、想定内のこととして落ち着いて対応できるようにしたいです。
 
 先週の相場波乱の要因のひとつになったのが欧州ユーロ圏の金融会合。従来、予想しておりましたように、うっかり中国との経済関係を深めてしまったドイツなどの経済が停滞しており、(もともと年内に利上げする予定だったのが)、まったく利上げできない状況であることを当局も認めました。そのうえ、追加的な金融緩和を再開するということで、先週は1ユーロ=127円台から124円台へとユーロ安(円高)が進みました。チャート分析の観点では、ユーロ円相場はまだ完全に崩れるには至っていません。と言いますのは、124円近辺の水準が非常に重要で、先週の急落もその手前でしっかり下支えされました。強力なサポート帯ですので、そう簡単には下抜けないと思われますが、万が一、下抜けて崩壊した場合を想定しますと。。。今年の年始の急落に迫るくらい、具体的には120円を割り込むような展開が想定されます。これもまだそのシグナルさえ出ていないので、過度に警戒する必要はないかもしれませんが、一応、それくらいの潜在的なリスクはあるとの認識を持っておきたいです。
 
 世界の主要な投資対象のなかで、うっかり中国との経済関係を深めてしまった地域(国)がもうひとつあります。それは、オーストラリア。先週発表されたオーストラリアの最新GDPは予想を下回り(前期比+0.2%)、オーストラリア国内の不動産も値下がりしています。中国経済が悪化している(中国人が手を引いている)影響も少なからずあると考えられます。チャート分析の観点では、77円台後半~78円台前半あたりが非常に重要で、先週は、まさにその重要なゾーンに差し掛かってきました。これがもし完全に下抜けることになりますと、これも年始(1月3日)の急落時に迫るくらいの豪ドル安(円高)が生じる可能性が高まります。
 
 以上のように、為替相場全体的にいえることですが、これからの3月中旬~下旬にかけて、やや大きな相場変動を生じさせるくらいの相場エネルギーを抱えており、それが下方に(円高方向に)噴出するシナリオも読み取れます。ですから、FX裁量トレードでは円高方向を意識したトレーディング戦略が考えられるでしょうし、通常の買い戦略(積み立て、自動売買法など)においては、最大で年始に起きたくらいの円高なら想定内といえるくらいの余裕ある状態を保ちたいといったところです。
 
 日経平均株価について。為替相場と比べますと、そんなに大きな相場エネルギーは見当たりません。先週すでに大きく値下がりしましたが、下落メドは一番近いところで2万1千円近辺。これはもう先週金曜日に到達しました。もし2万1千円を割り込んでも、次は2万700~800円と比較的近いところに第二の節目があります。日経平均相場の単体のチャート分析では、あまり心配ないのですが、ただ、為替相場が万が一、上述のような波乱が起きますと、それなりに足を引っ張られるシナリオも考えられます。が、逆にいえば、日経平均単独ではそれほどの下落エネルギーは見当たらないので、大きく下げる場面があれば、それはチャンスと捉えても良いのではないかと思います。(執筆者:為替王)(イメージ写真提供:123RF)