ドル円はECB理事会での決定を受け、リスク回避の流れが強まったことから111円48銭まで下落。長期金利の低下や株価の大幅下落も円買いを支えた。ユーロドルは大幅に下落し、節目の1.12を割り込み、2017年6月以来となる1.1177までユーロ安が進行。ECBが成長見通しや、利上げ見通しをハト派寄りに変更したことが材料に。

 株式市場は続落。ECBが景気見通しを下方修正したことを手がかりに大きく売られる。ダウは4日続落し200ドルの下げに。リスク回避の流れが強まり債券価格は上昇。10年債利回りは2.63%台まで低下。金は続伸し、原油価格は反発。

新規失業保険申請件数   → 22.3万件
10-12月期家計純資産 → 3730bドル
1月消費者信用残高    → 170.5億ドル

ドル/円   111.48 ~ 111.86 
ユーロ/ドル 1.1177 ~ 1.1288
ユーロ/円  124.67 ~ 126.14
NYダウ   -200.23 → 25,473.23ドル
GOLD   +1.50   → 1286.10ドル
WTI    +0.44   → 56.66ドル
米10年国債 -0.054  → 2.639%

本日の注目イベント

日  1月国際収支
日  10-12月GDP(改定値)
中  2月貿易収支
米  2月雇用統計
米  1月住宅着工件数
米  1月建設許可件数
加  2月住宅着工件数
加  2月就業者数
加  2月失業率

 「100年に一度の金融危機」と言われた2008年9月の「リーマンショック」。多くの中央銀行は非伝統的な金融政策を含むあらゆる金融政策を動員し、景気回復に心血を注いできました。その結果、トップランナーである米国は2015年末に政策金利の引き上げに踏み切り、「金融正常化」への道を歩んできたことはご存知の通りです。その米国に周回遅れで走って来たのが欧州でしたが、どうやらその遅れはさらに拡大しそうな気配です。

 ECBは7日定例理事会を開き、経済見通しを大幅に下方修正しました。域内のけん引役であるドイツを中心に景気減速が急速に進んだことで修正を余儀なくされた形です。ECBは2019年の経済成長率予想をこれまでの1.7%から1.1%に下方修正し、2020年も引き下げました。インフレ率予想についても2019年は、従来予想の1.6%から1.2%へと引き下げ、2020、2021年も同様に引き下げています。

 さらにECBは、条件付長期リファイナンスオペ(TLTRO)の再開も決定しました。昨年12月に資産購入プログラムの終了を決めたばかりでしたが、再び景気刺激策の導入に踏み切ったわけですが、この決定はサプライズとして市場に受け止められています。また利上げのタイミングについても、「早くとも今年の夏以降」としていた従来予測を、「少なくとも年末まで現行水準に留まる」として、利上げは来年以降になることを表明しました。

 ドラギ総裁は理事会後の記者会見で「地政学的要因と保護主義の脅威、脆弱性に関連した不透明感の持続が景況感に影響を与えているもようだ」と述べ、「ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは、依然として下振れ方向に傾斜している」と語っています。(ブルームバーグ)ユーロ圏は米中貿易戦争の影響だけではなく、米国への鉄鋼に対して関税が引き上げられており、さらに米国はユーロ圏への農産物の輸出を巡りユーロ圏からの自動車に対して関税を引き上げると脅しをかけています。米国とEUとの貿易戦争はこれからが本番といった状況です。

 年内の利上げを停止する可能性のある米国。先週の全人代で今年の経済成長率を下方修正した中国。さらにわが国でも、昨日発表された景気指数は3カ月連続で低下しており、すでに景気はピークアウトしているのではとの観測も出ています。日米欧に中国を加えた「世界4大経済地域」で景気減速が鮮明になれば、リーマンショック級とは言わないまでも、マクロ的に見れば世界景気の低迷を背景に、低金利水準が当面続くということになります。そして、その最大の原因はトランプ政権が仕掛けた「貿易戦争」にあることは明らかで、米国の保護貿易、自国主義が世界景気の脅威になっていることを、昨日ドラギ総裁も暗に批判していたと受け止めています。

 ユーロドルはこの決定を受けて大きく売られ、非常に重要な節目と見られていた1.12を割り込み、1.1177前後までユーロ安が進みました。この水準は2017年6月以来となり、ユーロは他の主要通貨に対しても大きく下落しています。ユーロドルを予想するには、すでに下落が大きいため「週足」でも下値のメドが見当たらず、「月足」チャートを読むことになります。「月足」では雲の下限が1.10台前半にあり、ここを割り込むようだとチャート上は相当な下落が予想されます。

 ユーロドルで「ドル高・ユーロ安」が進んだことで、ドル円でももう少しドル高が進んでもおかしくはなかった状況でしたが、市場の「リスクオフ」の流れからやや円が買われたものと思われます。そう考えると本日のドル円の上値はやはり重いと予想され、下値は「200日線」のある、111円35-40銭近辺がサポート見ています。この水準を抜けるようだと111円割れもないとは言えません。本日は、雇用統計もあります。かつてほど動きのない雇用統計ですが、予断を持つことなく臨むことが肝要です。

 予想レンジは111円~112円程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)