ドル円は小動き。ADP雇用者数や貿易収支の結果にも反応せず、111円台半ばから後半で推移。米長期金利がやや低下したことで、111円62銭まで売られる。ユーロドルは水準をやや下げ、1.1286まで下落。本日のECB会合で、景気見通しを引き下げるとの観測が重石に。株式市場は続落。米中通商協議にメドがたったことや、景気見通しが下方修正されたことが手がかりとなり、ダウは133ドル下落し、3日続落。債券相場は続伸。世界景気の見通しが下方修正され、株価も軟調だったことから債券は買われた。長期金利は2.7%台を割り込む。金は8日ぶりに反発。原油は続落。

2月ADP雇用者数     →  18.3万件

12月貿易収支       →   -598億ドル

ドル/円 111.62   ~ 111.85 

ユーロ/ドル 1.1286 ~ 1.1324

ユーロ/円  126.17 ~ 126.53

NYダウ  -133.17 → 25,673.46ドル

GOLD +2.90    → 1287.60ドル 

WTI -0.34     → 56.22ドル 

米10年国債  -0.025 → 2.692%


本日の注目イベント

豪  1月貿易収支
豪  1月小売売上高
中  2月外貨準備高
欧  ユーロ圏10-12月期GDP(確定値)
欧  ECB政策金利発表
欧  ドラギ・ECB総裁記者会見
米  新規失業保険申請件数
米  10-12月期家計純資産
米  1月消費者信用残高


 ドル円は2月のADP雇用者数や、政府機関の一部閉鎖で送れていた12月の貿易収支の発表にもほとんど反応せず、111円台後半でもみ合いました。2月のADP雇用者数は事前予想とほぼ一致しており材料にはならず、12月の貿易収支は、短月としては10年ぶりの貿易赤字額でした。特に対中国の貿易赤字額は財のみで過去最高の4192億ドル(約46兆9千億円)でした。米中貿易戦争の影響で中国側からの駆け込み輸出が拡大したものと思われます。また、対メキシコとEUでも過去最大の赤字額を記録しています。この結果通年でも6210億ドル(約70兆円)と10年ぶりに大幅赤字額になっています。

 NY市場では株価が続落し、長期金利も低下しました。利益確定の売りもあったようですが、世界経済の鈍化予測を背景にややリスク回避が進んだ形です。OECD(経済協力開発機構)が6日発表した報告書では、世界経済は貿易摩擦と政治的不確実性から予想される以上に苦戦しており、特に欧州の見通しを曇らせていると指摘しています。OECDは「世界的な景気拡大は勢いを失い続けている」とし、「下振れリスクが現実に影響した場合、経済成長はさらに弱まりかねない」と分析しています。さらなる貿易障害や英国の合意なきEU離脱、債務増大による金融の脆弱性などのリスクが積み上がる中、状況はむしろ悪化する恐れがあるとし、イタリア経済は2013年以降で初めて通年で縮小する可能性もあると警告しています。(ブルームバーグ)

 ただこれは昨秋口から始まったトランプ政権の保護貿易主義、自国主義の影響を考えれば、当然の帰結と言えます。ブルームバーグの分析によれば、貿易赤字額はトランプ大統領就任後の2年間で1000億ドル強拡大したことを意味し、さらにトランプ大統領自身の指標を使えば、米国の暮らし向きは政権発足直前の2016年末から20%悪化したことになると手厳しい評価を下しています。

 ベージュブックでも米国内の景気に対する見方に下方修正がありました。前回のベージュブックでは、全12地区のうち8地区が「緩慢ないし緩やか」な景気拡大を報告していましたが今回は、10地区が「わずかないし緩やか」とし、残り2地区は「景気の拡大は横ばい」と報告されていました。もっとも、こちらもこれまでの経済指標や貿易戦争の影響を考えれば「想定内」と言えるのではないかと思います。

 これらの報告に対して株式と債券市場は素直に反応しましたが、為替市場の動きは相変わらず鈍く、ドル円は長期金利の低下に売られましたが、111円62銭前後までで勢いはなかったようです。ドルが売られても、これまで上値抵抗線であった「120日移動平均線」が今度は下値支持線として機能しているようです。本日はECBの理事会とドラギ総裁の記者会見があります。ECBは域内の景気見通しを引き下げる公算が高いと見られています。ユーロドルの動きがドル円にも影響を与えることが予想されます。
本日のレンジは111円30銭~112円20銭程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)