ドル円は小幅に反発し108円58銭をつける。パウエル発言を受け株価が大幅に反発したが、今後利上げを停止する可能性にドル円の上値は重かった。ユーロドルは1.13台半ばまで売られたが、1.14台前半まで押し戻される。

 パウエル議長が金融政策を柔軟に見直す用意があると発言したことで、今後利上げが一時停止される可能性が出てきた。株式市場はこの発言を好感し急反発。ダウは746ドル上昇し、前日の下落分を埋めた。債券相場は反落。株価の急騰から債券は売られ、長期金利は2.66%台へと上昇。金は反落し、原油は続伸。

12月失業率        → 3.9%
12月非農業部門雇用者数  → 31.2万人
12平均時給 (前月比)  → 0.4%
12月平均時給 (前年比) → 3.2%
12月労働参加率      → 63.1%

 
ドル/円   108.00 ~ 108.59 
ユーロ/ドル 1.1347 ~ 1.1418
ユーロ/円  122.84 ~ 123.86
NYダウ   +746.94 → 23,433.16ドル
GOLD   -9.00   → 1,285.80ドル
WTI    +0.87   → 47.96ドル
米10年国債 +0.116  → 2.668%


本日の注目イベント

日  12月マネタリーベース
中  中国 12月外貨準備高
独  独11月製造業新規受注
欧  ユーロ圏11月小売売上高
米  12月ISM非製造業景況指数
米  11月新築住宅販売件数
米  米中、次官級の通商協議(8日まで)
米  ボスティック・アトランタ連銀総裁講演


 前日大きく売られた米国株は急反発しました。引き続き荒っぽい動きが続き、市場参加者も予測がつかない状況ですが、パウエルFRB議長が利上げに対して柔軟な姿勢を見せたことで株価が急騰し、ドル円も上昇しました。ただ、今後利上げが一時的に停止される可能性が浮上したことで、ドルにはやや逆風となり、株価上昇の割には、ドルの上値は重いといった印象です。

 パウエル議長は、米経済学会(AEA)の年次会合で、イエレン前議長、バーナンキ元議長とのパネル討論会に参加し、「景気拡大の軌道を維持する上で適切だと判断した場合は、われわれは政策を迅速かつ柔軟に調整し、経済を支える手段全てを活用する用意を整える」と発言し、「政策にあらかじめ決められた道筋はない」と述べ、必要に応じ金融政策を調整する考えを示しました。(ブルームバーグ)この発言により、今年予定されている利上げが一時的に停止される可能性が浮上し、株価に好影響を与えました。

 ただ、パウエル議長は昨年12月19日にFOMCで利上げを決めた後の会見で、「米経済は底堅く、2019年も2回の利上げが正当化される」と発言しています。昨年12月にはすでに米株価は乱高下しながらも大きく下落しており、この発言が「タカ派的過ぎる」と市場に受け止められ、さらに株価を押し下げた経緯があります。あれからわずか2週間余りで、「金融政策変更の用意がある」と言うのであれば、昨年12月には株価だけではなく、経済指標の一部にもすでに景気減速を示すデータが出ていたわけで、12月の会見時に同様の発言を行ってほしかったと、個人的には考えています。

 今年2回の利上げが予想されていましたが、パウエル発言により利上げの一時停止の可能性が出て来ました。この日は12月の雇用統計が発表され、市場予想を大きく上回ったことから、むしろ12月のパウエル氏の発言が正当化される結果で、利上げ観測が高まった可能性もありました。それだけに、株式市場関係者にとってはこの日のパウエル氏の発言はサプライズであり、株価の急騰につながったと思われます。12月の雇用時統計では失業率はやや悪化したものの、非農業部門雇用者数は事前予想の「15.5万人」に対して「31.2万人」で、11月分も上方修正されています。

 前日発表されADP雇用者数もそうでしたが、景気減速を示す指標が散見される中、労働市場の拡大はまだ続いていると見られます。ただ、これも今後の米中通商協議の結果次第では急激に悪化する可能性があることは言うまでもありません。

 その米中通商協議は本日から2日間の日程で北京で開催されます。トランプ大統領は、昨年末の習近平主席との電話会談後に、交渉は「大きな進展」を見せているとツイートしています。2日間の協議では、中国が昨年12月の首脳会談で示した1兆2千億ドル(約130兆円)の米国製品を追加輸入する内容が話し合われるものと見られます。中国の景気後退はすでに明らかで、今後協議が決裂するようなことになると中国景気がさらに悪化するリスクもあります。この点を踏まえて、中国側がどこまで譲歩するのかが引き続き焦点になります。

 ドル円は3日の104円台から4円ほど値を戻しています。今後再びこのレベルをテストする可能性もありますが、現時点ではやはりあの動きは、短期的には行きすぎだったと思われます。しかし今後米金利が上昇しにくいことや、メキシコ国境を巡ってはトランプ大統領が依然として強気の姿勢を崩していないことから、ドルの上値はまだ重いと考えることができそうです。

 本日のレンジは108円~109円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)