トランザス <6696> (東マ)はIoT端末・機器のファブレス型メーカーである。中期成長に向けてウェアラブル端末、IoTコントローラー、ホスピタリティロボットの開発・育成、そしてストック型収益構造への転換を推進している。19年1月期は構造転換途上であり、海外大型案件の売上計上時期見直しなどで減収減益予想だが、20年1月期の収益改善を期待したい。株価は地合い悪も影響して水準を切り下げたが底値圏だろう。売り一巡して反発を期待したい。
 
■IoT端末・機器のファブレス型メーカー
 
 STB(受信端末装置)やウェアラブル端末など、IoT端末(ターミナル)や機器を製造販売するターミナルソリューション事業を展開している。製造は台湾企業に委託している。ファブレス型メーカーである。販売はSIer・商社・ソフトウェア開発事業者などのVAR(付加価値再販パートナー)企業を通じて行う。
 
 VOD(ビデオ・オン・デマンド)などの映像受信端末装置であるSTBを、特定の機能に絞った単機能型の低価格コンピュータとして、ホテルでフロントが一括管理するルームコントロールシステムなどに活用していることが特徴である。ホテル・民泊・飲食業、物流業、製造業などの分野向けを中心に事業展開している。
 
 18年1月期売上高構成比は、IoT端末・機器を製造販売するIoTソリューションが79%(STBの映像配信分野が70%、デジタルサイネージの販売支援分野が5%、ウェアラブル端末やIoTコントローラーの作業支援分野が4%)で、IT業務支援(システム受託開発やアプリケーションソフト開発)が21%だった。
 
■ウェアラブル端末、IoTコントローラー、ホスピタリティロボットを育成
 
 中期成長に向けてウェアラブル端末、IoTコントローラー、ホスピタリティロボットを開発・育成している。
 
 エンタープライズ向けウェアラブル端末「Cygnus」は17年1月販売開始した。カメラ、無線LAN、マイク・スピーカを搭載し、バーコード、QRコード、NFCタグの読み取りも可能なウェアラブル端末である。物流業や製造業ではPOSシステムに連動したオーダー端末としても使用でき、オムロン<6645>製のロボットの操作用端末としても活用されている。
 
 17年12月には、世界的モニターブランド「BenQ」を展開する台湾Qisda社のグループ会社を通じて、台湾のレストランでオーダー端末として採用された。18年1月には、ハウステンボスが運営する「変なホテル ハウステンボス」の運営スタッフ連絡用に採用された。18年4月には、パートナー企業であるマレーシアのSophic社を通じて、米国大手半導体メーカーのマレーシア工場に導入した。Sophic社が開発したリアルタイムでのマシン監視システムの連携端末として利用される。
 
 ウェアラブル端末の展開では、物流業を中心にVAR(付加価値再販パートナー)企業が増加し、営業対象企業数(具体的な案件や利用用途を見込む企業)が大幅に増加している。18年1月期のVAR企業数は17年1月期比11社増加の35社、営業対象企業数は約2倍の133社となった。ウェアラブル端末はそれを活用したソリューションとともに提供されているが、案件ごとにソリューションの企画・開発が必要であったり基幹システムと連動等することもあり、営業対象企業数が増加したことで導入までに時間がかかっている。今後の展開は、物流業・製造業において全顧客共通で利用可能な標準的なソリューションの開発を行うとともに、キャッシュ・レスを推進するための決済端末をサービス業にも展開する。。
 
 IoTコントローラー「AIrux」は18年1月開発完了し、ホテル・民泊等の宿泊施設市場や介護施設等のホスピタリティ市場への拡販を推進している。室内の家電制御や監視を可能にして、施設の作業効率向上やコスト削減を図る。
 
 18年2月には子会社のTAP社(シンガポール)がコニカミノルタBSA社(シンガポール)と、ホテル・リゾート施設向けITサービス開発に関する覚書を締結した。IoTコントローラーを活用して、ホテル・リゾートなど宿泊施設向け高付加価値型ITサービスの開発に取り組む。18年6月にはAPAMANのグループ会社であるグランドゥースと、遠隔からのオペレーションが可能な顔認証による民泊施設自動チェックインシステムの共同開発で合意し、大阪府の民泊施設での実証実験を開始している。
 
 また18年7月から開発中のホスピタリティロボットの基本モデルが完成。11月から最も需要が見込まれるホテルを中心に本格展開を開始した。
 
■ストック型収益構造へ転換
 
 収益面の特性として、案件によって四半期業績が変動しやすく、さらに納品が第2四半期や第4四半期に集中する季節要因もある。このためホテル向け新型STB(次世代VOD端末)を、売り切りではなく月額・課金型サービスとして提供するなど、フロー型収益構造からストック型収益構造への転換を推進している。
 
■19年1月期減収減益予想、20年1月期収益改善期待
 
 19年1月期連結業績予想(9月12日に下方修正)は、売上高が18年1月期比20.2%減の10億04百万円、営業利益が5百万円(18年1月期は2億51百万円)、経常利益が2百万円(同2億45百万円)、純利益が0百万円(同1億52百万円)としている。
 
 売上面では、作業支援分野においてIoTコントローラー「AIrux」や民泊自動チェックインシステムが貢献するが、映像配信分野においてIP放送関連の大型案件が一巡し、ホテル向けSTBも次世代型への移行で売り切り型の既存端末が減少する。また作業支援分野におけるウェアラブル端末「Cygnus」の海外大型案件について、売上計上時期を20年1月期に見直した。
 
 売上高計画は、IoTソリューションが7億82百万円(映像配信分野が5億42百万円、販売支援分野が1億04百万円、作業支援分野が1億35百万円)で、IT業務支援が2億21百万円としている。
 
 なお第3四半期累計は、売上高が前年同期比51.3%減の3億48百万円、営業利益が1億60百万円の赤字、経常利益が1億57百万円の赤字、純利益が1億70百万円の赤字だった。
 
 今後の重点施策としては、6つの新サービス・ソリューション(スマホを中心としたクラウド型ホスピタリティサービスの提供、人的作業を代替するロボット派遣の提供、「AIrux」による人手を介さない空間演出の提供、人手を介さない民泊自動チェックインシステムの提供・運用、IoTゲートウェイ等の新IoTデバイスを用いたサービスの展開、ウェアラブルデバイスを用いたソリューション提供の本格展開)を展開し、月額・課金型のストックビジネスを強化する。
 
 19年1月期はストック型収益構造への転換途上であり、海外大型案件の売上計上時期見直しなどで減収減益予想だが、20年1月期はストック型収益構造への転換推進も寄与して収益改善を期待したい。
 
■株価は底値圏
 
 株価は地合い悪化も影響して12月25日の上場来安値604円まで下押したが、底値圏だろう。売り一巡して反発を期待したい。12月27日の終値は664円、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS434円91銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約21億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)