ドル円は約3カ月ぶりに110円台後半まで下落。株価の大幅下落や、軟調な経済指標に加え、米政府機関の一部が閉鎖される可能性が出てきたことが材料視され、110円82銭までドル安が進む。急速にドル安が進んだことで、ユーロドルも反発。1.1485までユーロ高が進行。

 株価は大幅に続落。米政府機関の一部が閉鎖される可能性が出てきたことで、下落傾向の株価に拍車がかかり、ダウは464ドル安で取引を終える。債券祖相場は急ピッチの上昇に警戒感が出て4日ぶりに反落。長期金利は2.80%台を回復。金は続伸し1267ドル台に。荒っぽい値動きが続いている原油価格は大幅に反落し45ドル台に。

新規失業保険申請件数        → 21.4万件
12月フィラデルフィア連銀景況指数 → 9.4
11月景気先行指標総合指数     → 0.2%

ドル/円   110.82 ~ 111.79
ユーロ/ドル 1.1403 ~ 1.1485
ユーロ/円  127.22 ~ 128.03
NYダウ   -464.06 → 22,859.60ドル
GOLD   +11.50  → 1,267.90ドル
WTI    -2.29   → 45.88ドル
米10年国債 +0.052  → 2.807%

本日の注目イベント

日  11月消費者物価指数
独  1月GFK消費者信頼感
欧  ユーロ圏12月消費者信頼感(速報値)
英  7-9月期GDP(確定値)
米  7-9月GDP(確定値)
米  11月耐久財受注
米  11月個人所得
米  11月個人支出
米  11月PCEコアデフレータ
米  12月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
加  10月小売売上高

 米国発の世界同時株安の流れが止まりません。前日の米国株の大幅安を受け、昨日の日経平均株価は一時700円も下落する場面があり、引けにかけてはやや反発したものの、595円安で取引を終え年初来安値を記録しました。この流れは再びNY市場にも波及し、NYダウは464ドル安と、「負の連鎖」は止まるどころか、むしろ加速した形です。

 株価だけではなく、原油価格も大幅に下げ、金は買われ、市場では急速に「リスク回避」の流れが強まってきました。緩やかな動きが続いていたドル円もさすがに昨日は値動きが大きく、昨日のドルの高値からは1円80銭ものドル安円高が進み、久しぶりに値幅の大きな1日となりました。

 今回も震源地はホワイトハウスで、ここでも「トランプリスク」が顕在化した格好です。今週末の政府機関閉鎖を回避するために上院が19日遅くに可決し下院に送付された暫定予算案に、トランプ大統領が署名しない意向だと伝わり、一部政府機関が閉鎖される懸念が広がったことでドルが売られ、株価が大幅に下落しました。暫定予算案には、トランプ氏が要求するメキシコ国境の壁を建設する予算や、警備費用の予算などが含まれていないことで大統領が署名を拒否したようです。ブルームバーグは、21日深夜までに暫定予算が成立しない場合、国土安全保障省を含む9つの政府機関がクリスマス休暇直前に閉鎖することになると伝えています。

 ドルが主要通貨に対し売られ、ドル円は110円82銭まで下落しました。110円80銭台は9月以来、約3カ月ぶりの円高水準ですが、今年は値動きが乏しく、緩やかな市場の動きに慣らされていた投資家にとっては、やや驚きの展開でした。大幅に下落したドル円は「日足」でも、雲を下抜けしており、「200日移動平均線」と、「週足」の「120週移動平均線」でサポートされた形にはなっていますが、上昇トレンドの終わりの『始まり』を意識させる動きと見ることができそうです。まだ110円という重要な節目を割り込んでいないため、完全に目線を下方に向けるとまではいきませんが、この雰囲気が年末から来年に続くようだと、110円割れも視野に入れる必要が出てきそうです。

 それにしても米国の株安の流れは止まりません。19日のFOMCでは、市場が期待したほどハト派的な政策は示されず利上げを決めたFRBでしたが、前NY連銀総裁だったダドリー氏はブルームバーグとのインタビューで「景気が軟化した場合は金融当局は利上げを休止するだろう」と述べています。日米の株式市場で「負の連鎖」が続いている今の状況下では、FRBによる利上げ休止といったメッセージが必要かもしれません。

 米景気の減速を示す指標もわずかながら出てくるようになりました。今週月曜日に発表された12月のNY連銀製造業景況指数は1年半ぶりの低水準でしたが、昨日発表されたフィラデルフィア連銀製造業景況指数も同様でした。市場予想の「15.0」に対して結果は「9.4」と大きく下回り、これは2016年8月以来となる低水準でした。仮にこの状態で米中貿易戦争がさらに拡大した場合には、好調だった米経済も失速し、同時に世界景気が急速に悪化する可能性も出てきました。FRBによる「利上げ休止」が、予想より早まることも考えられます。

 本稿執筆時、ドル円は111円台に戻っていますが、本日も株価次第では110円台への下落もあり、日経平均株価の2万円の大台を割れが意識されるようだと、110円台半ば程度までの下落もないとは言えません。

 予想レンジは110円60銭~111円60銭程度と見ます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)