本日、英議会で行われる予定だった欧州連合(EU)離脱=Brexit協定案の採決は、大差での否決が濃厚となったため、メイ首相が延期を決めた。この協定案は、英国が将来にわたりEUのルールに縛られる可能性を残す内容のため、強硬離脱派を中心に英議会内の反発が強い。協定案への議会承認がないまま来年3月29日のBrexitを迎えると、経済面の激変緩和に備えるための移行期間もないままの「無秩序離脱」が現実味を帯びる事になる。このため、10日のNYタイムに採決延期の報道が流れるとポンドは大きく値を下げ、ポンド/ドルは約1年8カ月ぶりに1.250ドル台へと下落した。

 メイ首相は本日、オランダを訪れ同国のルッテ首相やドイツのメルケル首相と会談する。懸案のアイルランド国境問題で、バックストップ(防御策)は恒久的に続かないとの「保証」をEU側から取り付けて、これを議会に示したい考えのようだ。こうした打開策が功を奏すれば、一時的にせよポンドの反発が見込めるだろう。しかし、トゥスクEU大統領が「EUの残り27加盟国は離脱協定を『再交渉』しない」と言明しているだけに、このシナリオは期待しにくい。一方、会談が無成果に終われば、ポンド売りが再燃する可能性もある。当面のポンド相場は、関連報道によって乱高下するケースが増えそうだが、金利面からも買い安心感がある米ドルに対しては「上値が重い一方、下値が柔らかい」展開になりやすいと考えられる。

(執筆:外為どっとコム総合研究所  編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)