ドル円は先月20日以来となる112円台半ばまで下落。米株式市場で株価が大きく下げ、長期金利も2.91%まで急低下したことで、ドル売り円買いが加速し112円58銭までドル安が進む。ユーロドルではドル円ほどユーロ高が進まず、1.14台に乗せたものの押し戻される。ユーロ円の売りが活発となり、ユーロ円は127円台半ばまで下落。

 株式市場は急落。米中貿易問題のへの不透明感に加え、債券市場で発生した「逆イールド」が意識され、景気に対する懸念も株価を押し下げる。ダウは800ドルほど下げ、他の主要指数も大きく下落。債券相場は大幅に続伸。リスク回避の流れもあり、利上げ停止観測も高まり、債券に資金が流れる。長期金利は2.91%台まで急低下。ドルが売られたことで金は続伸。原油価格は小幅に上昇。


ドル/円   112.58 ~ 113.02
ユーロ/ドル 1.1319 ~ 1.1409
ユーロ/円  127.61 ~ 128.65
NYダウ   -799.36 → 25,027.27ドル
GOLD   +7.00   → 1,246.60ドル
WTI    +0.30   → 53.25ドル
米10年国債 -0.060  → 2.910%

本日の注目イベント

豪  豪7-9月期GDP
中  中国 11月財新サービス業PMI
欧  ユーロ圏11月総合PMI(改定値)
欧  ユーロ圏11月サービス業PMI(改定値)
欧  ユーロ圏10月小売売上高
米  ベージュブック(地区連銀経済報告)
加  カナダ中銀政策金利発表


 ドル円はNY市場で112円台半ばまでドル安が進み、昨日の日中の水準から1円を超える円高が進みました。米長期金利が急低下し、株価も再び大きく売られる展開から、リスク回避の円買いが強まったわけですが、今回はドル円もそれなりに反応したようです。

 予兆はありました。昨日の東京時間には、日経平均株価が特段の理由がないままジリジリと下げ、特に午後に入ると下げが一段と加速し、結局この日の最安値である前日比538円安で引けています。ドル円も歩調を合わせるかのように113円割れ目前の水準までドル安が進んでいました。この流れがNY市場へ伝播した形です。ダウは一時800ドルを超える下げを見せ、長期金利は急低下し2.91%台まで下がり、円を買う材料が整った形です。

 債券ディーラーだけではなく、市場全体が注目したのは3年債の利回りと5年債の利回りが逆転する「逆イ-ルド」が起きたことです。通常金利は、短いほうが低く長くなるにつれて高くなるのが一般的です。(順イールド)これが5年債の金利の方が高くなってしまったのです。3年債は短期であることから、政策の影響を受け易いと言われ、FRBが粛々と政策金利を引き上げていることに反応し、緩やかな金利上昇が続いています。今月行われるFOMCでも今年4回目となる利上げは確実視されており、3年債や2年債には金利上昇圧力が続いています。

 一方期間の長い債券では、先週から金利の低下が続いており、長期金利は3%の大台を割り込み、昨日のNYでは2.91%まで低下しています。先週パウエルFRB議長はNYのエコノミック・クラブでの講演で、「金利は中立をわずかに下回る」との認識を示し、急速に「ハト派」に変化してきたとの印象を市場に与えました。またパウエル議長に先んじて、クラリダ副議長は、今後の利上げには慎重になるべきだとの立場を示していました。FRBの正副議長以外にも利上げに対する慎重な見方が増えており、ここにきて急速に「利上げ打ち止め論」が広がっており、これが長期金利の低下を促しています。結局、期間の短い金利が上昇し、長いものが低下することで「逆イールド」が発生しています。

 今回の逆イーリド現象は2007年以来のこととなり、2年債と10年債との利回りも10ベーシスを切ってきており、急速に縮小しています。2年債と10年債で「イールドカーブの逆転」が起こると、その後ある期間を経て景気後退につながる可能性が高いことは、過去の経験則がわかっているため、来年には米景気の減速を背景に株安、ドル安のシナリオが高まってきます。米経済指標にまだその傾向は明確には出ていませんが、昨日のNY市場での為替、債券、株式市場での動きは、それを織り込む動きだったのかもしれません。

 ドル円は112円台半ばまでドル安が進んで、11月20日以来の円高水準です。「週足」の雲の入り口で下落が止められた格好ですが、今後は米中貿易問題だけではなく、米景気の行方や金利にも細心の注意を払う必要があります。

 本日のレンジは112円20~113円20程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)