イタリアのポピュリスト政権が2019年の財政赤字目標で欧州連合(EU)に譲歩し、国内総生産(GDP)の2.2-2.3%に引き下げる方向で検討を始めたと伝わった事が足元でユーロの強材料となっている。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の発言が利上げ打ち止めを示唆したと受け止められた事がドルの弱材料となった。その結果、昨日はユーロ/ドルが1.1280ドル前後から1.1380ドル台へと大きく上昇した。

 まず、イタリアの財政赤字については、当初目標である2.4%からの引き下げ幅が小さすぎるため、EU側が矛を収める可能性は低いだろう。一部報道によると、欧州委員会は財政赤字を2%以内に抑えるよう求めているとされる。今後も折に触れてイタリア政府と欧州委員会が対立する構図は変わりそうにない。

 また、パウエルFRB議長の発言についても、市場が過剰に反応した印象が強い。10月の講演で「長い道のりがある」としていた中立金利への距離感を「僅かに下回る水準」と言い換えた事が利上げ打ち止めの示唆と受け止められた。たしかに、やや慎重化した印象を受ける言い回しではあるが、政策金利の最高到達点が中立金利を上回る事はないと言っている訳では全くない。

 ここからさらにユーロが買われてドルが売られる展開にはなりにくいのではないだろうか。10月以降の上値を抑えてきた週足の一目均衡表転換線が通る1.1420ドル前後を上抜けるには燃料不足と見ておきたい。(執筆:外為どっとコム 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)