ドル円は114円台に乗せたものの、パウエル議長のやや「ハト派」的な発言から急落。113円45銭までドル安が進む。来年には利上げを休止する可能性が高まった。ユーロドルも急反発。1.12台後半から1.1387までドル安ユーロ高が進む。パウエル発言を受け株価は急騰。ダウは前日比617ドル上昇し、ナスダックも208ポイントと大幅上昇。債券相場は横ばい。長期金利は3.06%近辺と小幅に上昇。ドル安が進んだことから金は反発。原油価格は在庫増を材料に続落し、一時は50ドル割れ目前の水準に。

7-9月GDP(改定値)            →   3.5%

10月新築住宅販売件数           →   54.4万件

11月リッチモンド連銀製造業指数     →   14

ドル/円113.45 ~ 114.03

ユーロ/ドル1.1269~ 1.1387

ユーロ/円 128.38 ~ 129.26

NYダウ +617.70 → 25,366.43ドル

GOLD +10.20 →1,223.60ドル 

WTI -1.27 → 50.29ドル 

米10年国債 +0.002→ 3.059%

 
本日の注目イベント

独  独11月雇用統計
独  独11月消費者物価指数(速報値)
欧  ユーロ圏11月消費者信頼感指数(確定値)
欧  ドラギ・ECB総裁講演
英  英10月消費者信用残高
米  10月個人所得
米  10月個人支出
米  10月PCEコアデフレータ
米  新規失業保険申請件数
米  10月中古住宅販売件数成約指数
米  FOMC議事録(11月7-8日開催分)


 ある程度の影響はあるだろうと注目はしていましたが、「予想以上」の反応でした。日本時間夜中の1時半からエコノミック・クラブ・ニューヨークで行われたパウエルFRB議長の講演を境に、114円台に乗せたドル円は一気に113円45銭近辺までドル売りが進みました。

 パウエル議長は、米経済は「堅調」な成長が続くと、自身を含め政策当局者は引き続き予想していると述べながらも、政策金利については「経済にとって中立、すなわち成長を加速も減速もさせない水準に関する幅広い予想レンジをわずかに下回っている」と述べ、これまで「現時点では恐らく、中立まで長い道のりがある」と述べていた認識を変えました。同時に「FOMC参加者の予測は、見通しに関するわれわれの最善の判断に基づいているが、政策に既定路線はない」と述べ、今後利上げには慎重な姿勢で臨む考えを示しました。(ブルームバーグ)

 この発言を受け、ドルは主要通貨に対して急落しています。ユーロドルは1.1285から1.1387前後まで100ポイントほど上昇し、ポンドドルも同様に、1.27台半ばから100ポイントほど上昇し、ドル安が進みました。パウエル発言を受けて、利上げ観測に変化が出ています。12月のFOMCでの利上げ観測には大きな変化はなく、筆者もここでの利上げは必至と見ていますが、2019年の利上げ見通しが不透明になって来ました。ブルームバーグデータによると、ユーロドル先物市場では、来年の利上げ回数に関するトレーダーの見方を映す、2018年12月物と2019年12月物のスプレッドが急低下しました。ここから判断すると2019年の利上げ回数は、これまで市場のコンセンサスであった「3回」から「1回」にとどまることを示唆しています。

 一方株式市場では、金利上昇に歯止めがかかるとの見方から株価が大幅に上昇し、ダウは前日比617ドル高で取引を終えています。このところ下落幅の著しいナスダック指数も200ポイントを超える上昇で、7200台を回復しています。貿易戦争と金利上昇を嫌って下落が続いていた株式市場でしたが、これで「二重苦」からネガティブな材料がひとつ取り除かれた形になりました。

 ドル円は先週20日に112円30銭まで売られましたが、約1週間で114円台まで反発しました。昨日の114円台からの急落はやや想定を上回るものでしたが、本邦の輸出筋は114円前後から上値では確実にドル売り注文を並べてくるものと予想されます。クリスマスや年末年始を控え市場が閑散になることや、今週末の米中首脳会談の結果が読み切れない等の理由に加え、114円前後のレートは採算的には十分だと思われるからです。

 これでいよいよ材料は米中トップ会談ということになります。結果については依然として不透明と言わざるを得ません。会談前にもかかわらず、トランプ大統領は相変わらず中国に対する高姿勢を変えていません。これはトランプ大統領特有の「交渉術」の一部と見てはいますが、予断は許しません。個人的には、何らかの形で「合意に近いもの」で会談を終える可能性の方が高いと予想しています。本日のドル円は113円20銭~114円10銭程度と予想しています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)