ドル円は2週間ぶりに112円台半ばまで下落。FRBのクラリダ副議長が今後の利上げに慎重な発言を行ったことが背景。ドル円は112円65銭まで売られ、112円80銭前後まで戻して越週。ユーロドルは朝方の1.13台前半から反発。1.1420まで上昇。クラリダ発言から、利上げ観測がやや後退。

 株式市場は午後に反発。トランプ大統領が中国との貿易戦争を巡って、中国から142項目の行動計画を受け取ったことを明らかにしたことを好感。ダウは123ドル上昇し、S&P500も上昇したが、ナスダックは小幅安で引ける。債券相場は続伸し、長期金利は9月以来、約3カ月ぶりに3.06%台まで低下。金は3日続伸し122ドル台に。原油価格は前日と変わらず横ばい。


10月鉱工業生産 → 0.1%
10月設備稼働率 → 78.4%

ドル/円   112.65 ~ 113.20
ユーロ/ドル 1.1325 ~ 1.1420
ユーロ/円  128.12 ~ 128.89
NYダウ   +123.95 → 25,413.22ドル
GOLD   +8.0    → 1,223.00ドル
WTI    ±0      → 56.46ドル
米10年国債 -0.046  → 3.063%


本日の注目イベント

豪  豪第3四半期生産者物価指数
日  10月貿易収支
日  黒田日銀総裁講演
欧  ユーロ圏9月経常収支
米  11月NAHB住宅市場指数
米  ウィリアムズ・NY連銀総裁講演


 ドル円はNY市場で、2週間ぶりに112円65銭まで売られています。クラリダFRB副議長がCNNとのインタビュ-で、「米金融当局は、政策決定に際して世界の経済成長を考慮に入れるべき必要があるだろう」と述べたことで、米10年債が買われ、長期金利が大幅に低下したことが背景でした。米長期金利は9月20日以来となる、3.06%台まで低下し、一時は3.26%台まで上昇した金利に急ブレイキがかかって来ました。米10年債はこれで6営業日続伸です。

 トランプ大統領はホワイトハウスで、中国との貿易戦争に関して「中国は142項目の行動計画を提出してきた」と述べました。今月末にアルゼンチンで開催さてる「G20」に合わせて、中国の習近平主席とトップ会談を行うことが決まっていますが、その会談に合わせて米中間では事前に妥協点を探る動きが活発なっていましたが、その成果がひとつ確認された形です。トランプ氏は「重要な4、5項目がまだ解決されていない。私にとって、まだ受け入れられるものではない」と述べながらも、「完成度が高い」と、一定の評価は与えています。

 このように、米中の貿易戦争のこれ以上の悪化は避けられそうな状況かと思われましたが、一方ではアジア太平洋経済協力会議(APEC)での米中の激しい意見対立などを見るとそう簡単ではないことも窺わせています。先週末パプアニューギニアで開催されたAPECでは、米国のペンス副大統領と中国の習近平主席がお互いの通商政策を巡り対立し、結局「首脳宣言」を断念するという異例の結末になりました。草案にあった、「保護主義と対抗する」との文言を米国が拒否し、中国は、中国を念頭に置いた、「不公平な貿易慣行の撤廃を求める」という表現に反発しました。結局、戦いの場は米中首脳会談の場に委ねられることになりましたが、中国側がどこまで譲歩できるのかが、会談の鍵を握っています。

 ドル円は、113円台半ばから114円台前半でのもみ合いから、「日足の雲の上限」まで下落してきました。この背景は上でも述べたように、米長期金利の低下が主因です。一時は85%程度まで上昇していた12月の利上げ確率も、直近では65%程度まで低下して来ました。FRB内部でも、アトランタ連銀総裁に次いで、クラリダ副議長も今後の利上げには慎重な姿勢を見せる、いわゆる「ハト派」が増えているのも事実です。(参照:下記What’s going on )
個人的には12月利上げは行われると思っていますが、2019年に3回、2020年に1回という、これまでのコンセンサスはやや不透明になってきた印象があります。

 本日のドル円は112円30銭~113円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)