ポンドは昨日の海外市場で全面的に下落した。英国と欧州連合(EU)が合意した離脱協定案の閣議了承を受けて、ラーブ離脱担当相ら数名の閣僚が辞任。メイ首相に対する不信任投票の実施を求める動きも表面化した事もあって、ポンド/円は147円台から144円台へと3円以上も下落した。

 ただ、他の金融市場の動きを見ると、こうしたポンドの大幅下落はやや「独り合点」の「勇み足」にも思える。英国株(FT100)は小幅ながらも上昇した他、英国債にも買いが集まり(利上げ観測後退との見方)、長期金利が低下した。少なくとも、ポンド以外に英国売りは波及せず、パニック商状には程遠い動きであった。

 今後の英政局混迷や、その後に続く「合意なきEU離脱=Brexit」の可能性を過小評価するつもりはないが、現段階ではメイ首相の不信任決議には高いハードルが存在する事も事実であろう。今のところ不信任決議を支持する与党議員は約30人とされ、投票実施に必要な48人には届いていない。もし不信任投票を実施できても、メイ首相を辞任に追い込むために必要な過半数票(158票)を得られる公算は小さいと見られている。

 中長期的なポンド相場の展開については予断を許さないが、昨日の大幅下落が一段安の予兆と考えるのは早計かもしれない。

(執筆:外為どっとコム総合研究所  編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)