ドル円は昨日の東京時間に114円台を回復し、114円20銭まで上昇したが、NY市場では株価の大幅下落に上値が重く、113円66銭まで反落。ユーロドルは節目の1.13を割り込んだことで下落が加速し、NY市場では1.1216までユーロ安が進む。域内の景気鈍化や政治的リスクが台頭し、約1年5カ月ぶりとなる安値を記録。株式市場は大幅下落。アップル株やマレーシアの政府系ファンドの資金流出に関与していたとしてゴールドマン株も大きく売られた。ダウは602ドル下げ、ナスダックも200ポイントを超える下げに。債券市場は「ベテランズデー」のため休場。金は3日続落し、WTI原油価格は下げが止まらず11日続落。引け値で60ドルを割り込む。

本日の注目イベント

独   独10月消費者物価指数(改定値)
独   独11月ZEW景況感指数
英   英10月失業率
米   10月財政収支
米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演

 NY市場では再び株価が大幅に売られ、ドル円は昨日の夕方には114円台に乗せ、一時114円20銭前後までドル高が進んだものの、株価の大幅下落に上値を抑えられ、113円66銭まで反落しています。ダウは600ドルを超える下げを見せ、ナスダックも200ポイント以上の下げでしたが、特にアップルとゴールドマン株が売られ、この2銘柄だけでダウを185ドル押し下げたようです。アップルはiPhoneに対する需要懸念から売られ、ゴールドマンは、マレーシア財務相が巨額不正疑惑の渦中にある政府系投資会社に関連して、ゴールドマンに対して手数料の全額返還を求めると述べたことが材料視されたようです。またゴールドマンのブランクファイン前CEOの関与も取りざたされているようです。

 ドル円は一時114円20銭前後まで上昇し、直近の戻り高値を抜いてきましたが、10月4日に記録した114円55銭には届いていません。もっとも、昨日の夕方の動きは、ユーロドルに引っ張られた側面が強く、ユーロドルが節目の1.13を割り込み、ドル高ユーロ安が加速したことに影響されたと思われます。ユーロドルは1.13近辺では、これまでに何度も跳ね返され「壁」になっていましたが、いずれは抜けると予想していました。昨日の夕方も、1.13前後ではしばらくはもみ合いが続いていましたが、1.13を割り込むと一気にユーロ売りが加速し、1.1270近辺まで下げ、その後のNY市場では1.1216まで売られました。対米国との貿易戦争の影響を受け、ユーロ圏ではドイツを中心に景気の鈍化を示す指標が相次ぎ、加えて、イタリアとドイツでは政治的リスクが高まっていることが、折からの「ドル高傾向」に拍車をかけた格好です。

 ドルはユーロやポンド、円に対して上昇する展開が続いています。「米国の一人勝ち」に伴い、「ドル一強」といった状況です。ただ、このままドル高が続けば、トランプ大統領がドル高をけん制する「口撃」をしてくることは想像に難くありません。焦点は米中貿易戦争の行方次第ですが、昨日中国マクロ戦略の専門家の講演を聴く機会があり、筆者も参加してきました。「What will China do ?」(中国はどのように行動するのか?)とのタイトルで講演が ありましたが、米中の貿易戦争には思った以上に楽観的だという印象でした。中国政府は、サプライチェーン維持のためにビジネス環境を改善し、通貨人民元安を容認し、さらに景気刺激策として法人税減税を行うと、予想していました。また、政府は貿易戦争が米国の消費者と企業に圧力となる状況まで待つという戦略を取るのではないかとの予想も示していました。全体としては、これ以上貿易戦争は激化しないとの見方のようでした。

 本日は再び米国株の大幅下落により、日本株も軟調な展開が予想され、ドル円も上値が重いと予想されます。ただ、株価下落に対する「耐性」も徐々に出来ており、それほど深押しは望めないかもしれません。ユーロドルの動きが活発になってきました。こちらの動きにも注意が必要です。

本日のレンジは113円30銭~114円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)