モーニングスター <4765> は10月19日、2019年3月期第2四半期決算を発表した。売上高32億30百万円で前年同期比13.4%増、経常利益9億81百万円で同7.7%増だった。経常利益は9期連続増益、7期連続で過去最高益を更新した。当日、決算説明会を開催し、同社代表取締役社長の朝倉智也氏は、「増益率が7.7%と2ケタに届かなかったが、これは投資信託市場が大きな転換点を迎えていることによる足踏みといえる。この中で、次の成長に向けて着実に手を打っている」と語った。また、東証1部市場変更に向けて9月に実施した立会外分売の結果、1日当たり出来高が3倍に向上したと紹介。1部上場企業を見据えた新しいステージで一段と大きな成長を遂げると決意を示した。
 
 投資信託市場については、公募投信の純資産額が2017年9月末の63.7兆円から、18年9月末に65.7兆円と3.3%増と微増だったものの、公募投信の新規設定本数は17年4月~9月に223本だったものが、18年4月~9月は198本へと11.2%減少。公募投信の設定額も同期間に15.6%減となった。朝倉氏は「新規のファンドをどんどん出して、販売手数料を稼ぐという営業から、投資信託の残高や顧客数に重きを置いた営業に転換している。フィデューシャリーデューティの精神に則って、健全な路線転換が進んでいる」と評価した。
 
 この投信市場の販売動向の変化によって、新規募集ファンドのマーケティングのツールとして活用されるようなファンドレポートの需要が落ちるなど、同社の業績にマイナスの影響が表れている。ただ、同社が進めている投信販売の現場で使われるタブレットアプリの提供社数や提供台数は順調に拡大し、アプリを通じた投信データなどの売上は伸びている。朝倉氏は、「投資信託の販売プラットフォームであるタブレットアプリの提供社数、また、提供台数を伸ばし、マーケットシェアを伸ばすことによって、業績の2ケタ成長回帰への道筋が見えてくる」と語り、しっかり足元を固めていることに自信を示した。
 
 タブレットアプリの提供社数は、前年同期(17年4月~9月)77社から150社へとほぼ倍増。タブレットアプリの提供台数は、同4万7538台から5万9647台へと25.5%増になった。朝倉氏は、「タブレットアプリは、提供社数が伸びることを追いかけて利用者数が拡大していく。現在のところ、地方銀行104行中54行でご利用いただき、地方銀行でのマーケットシェアは51.9%と圧倒的なシェアになった」と提供社数の純増に手応えを感じているとした。タブレットアプリについては、現在の「投資信託INDEX」から、来年1月には「Wealth Advisor」へとバージョンアップを計画。投資信託だけでなく、保険商品や外貨預金等も総合的に管理・運用アドバイスができるツールとして機能を拡充する方針だという。
 
 また、同社のメディアとしての価値を示すスマートフォンアプリのダウンロード数は、この9月末には66万8108件に、前年同期から16.2%増。「株・投信情報」に加え、「My仮想通貨」、「株式新聞」(有料)が伸びてきた。このうち、「株・投信情報」については、一段と機能を拡充し、一部の機能を有料化して19年4月にリリースを計画。従来の広告モデルから、サブスクライバーモデルへの転換を進めるとした。
 
 そして、同社の売上の50%超を占めるようになったアセットマネジメント事業については、運用残高の拡大を図っている。100%子会社のSBIアセットマネジメントの運用残高は2017年9月末に2701億円だったものが、今9月末は3045億円へと12.7%増。この間に、販売会社数が33社から49社に拡大した。現在、2020年3月末までに運用残高を5000億円増額することをめざした商品開発を進めている。朝倉氏は、「8月から設定開始した定率払い出し型ファンドは順調な滑り出し、現在は、グローバルESGバランスファンド、元本確保型バランスファンドなどの準備をしている。商品開発力を活かし、市場のニーズに応えていきたい」と語っている。
 
 一方、今年8月に出資(議決権の保有比率67%)してグループに加えたCarret Asset Managementは、米国債券の運用に強みを持つ会社。朝倉氏は、「創設者のPhilip Carret氏は、かのバフェット氏も師と仰ぐ長期バリュー投資の第一人者。現在の主要な顧客はファミリーオフィスや個人富裕層など限られた投資家で、運用残高は3000億円弱だ。SBIアセットマネジメントが公募投信中心で、日本株の中小型株の運用に特徴がる会社だとすれば、Carret社は債券の運用で機関投資家向けの私募投信で強みが発揮でき、両社は補完関係がある。Carret社は、魅力的な社債ファンドなどを国内の機関投資家向けに提供していく計画」と語った。
 
 最後に東証1部への上場をめざす背景として、朝倉氏は「Carret社を買収したように、世界には優れた運用スキルを持ち、日本では未だ紹介されていないような資産クラスに投資をして目覚ましい成果を上げている運用会社がある。モーニングスターのグローバルな調査力を活かして、日本で新しい運用の魅力を紹介するために、欧州やアジア、あるいは、特別な資産クラスで運用している会社などを買収する可能性がある。その際に資金調達を行う場合は、JASDAQより東証1部の方が良い。また、東証1部になるとTOPIXに組入れられ流動性が増す。投資基準の関係でJASDAQ銘柄には投資ができない機関投資家の投資対象にもなる。次のステージにおいても、高い成長をめざしたい」と前を向いていた。(写真は、決算説明会に臨むモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏)