米中貿易戦争が深刻化する中、トランプ米政権が9月に自動車用タイヤなど中国からの輸入品に対する制裁措置の適用を決定した。これを背景に、ベトナムの天然ゴム産業は大きな打撃を受けるものと見込まれている。

  ベトナムゴム協会(VRA)によると、2017年におけるベトナムの天然ゴム輸出量は前年比+10.2%増の130万t、輸出額は同+34.7%増の20億USD(約2200億円)と順調に伸びた。1t当たりの輸出価格は1629USD(約18万円)だった。

  ベトナム産天然ゴム輸出の65.3%は中国向けで、中国はベトナムにとって最大の輸出先国となっている。2017 年時点におけるベトナム全国のゴム栽培面積は約97万haに上る。

  2018年1-9月期における輸出量は前年同期比+8.0%増の103万tと小幅ながらも成長を維持したが、輸出額は同▲12.1%減の14億2500万USD(約1580億円)に落ち込んだ。1t当たりの輸出価格は1380USD(約15万3000円)となり、前年通年の平均価格と比べて▲15.3%下落している。

  天然ゴムの約70%はタイヤ生産に使用されている。中国産の自動車用タイヤが制裁措置を受けることで生産が低迷するとの予想から、ベトナムから中国への天然ゴムの輸入も減少するものと見込まれる。

  ベトナムは天然ゴム市場シェアの11.7%を握り、タイ(同33.2%)とインドネシア(同27.2%)に次いで3位となっている(2017年データ)。国際天然ゴム市場では既に供給が需要を上回り、価格が下落しているが、自動車用タイヤなど中国からの輸入品に対する制裁措置はベトナムの天然ゴム業界だけでなく、国際ゴム市場にもマイナスの影響を及ぼすと見られる。

  農業農村開発省はこれを踏まえ、天然ゴム企業各社に対して、洪水により天然ゴムが大きな被害を受けているインドをはじめとする他の市場を積極的に開拓するほか、輸出品の付加価値を高めるなどしてゴム輸出における中国への依存を軽減するよう促している。(情報提供:VERAC)