前日112円台に下落したドル円は朝方には、米長期金利の上昇にドル買いが先行し、113円33銭まで上昇。その後金利が徐々に低下したことでドルも下落し、113円を割り込む水準で取引を終える。ユーロドルは小幅に続落。EUとイタリアの交渉が長引くとの見方がユーロの重石に。ユーロドルは一時1.1433まで売られ、約2カ月ぶりのユーロ安を付ける。

 株式市場は下落。貿易を巡る不透明感や世界経済見通しを受けダウは56ドル安。ナスダックは4日ぶりに反発したが小幅に留まる。債券相場は軟調に始まり金利は上昇したが、その後ジリジリと買い戻しが入り、結局反発。長期金利は3.20%台まで低下。金と原油はともに反発。

ドル/円   112.87 ~ 113.33
ユーロ/ドル 1.1433 ~ 1.1503
ユーロ/円  129.34 ~ 130.17
NYダウ   -56.21 → 26,430.57ドル
GOLD   +2.90  → 1,191.50ドル
WTI    +0.67  → 74.96ドル
米10年国債 -0.026 → 3.206%


本日の注目イベント

英  英8月貿易収支
英  英8月鉱工業生産
米  9月生産者物価指数
米  エバンス・シカゴ連銀総裁講演
米  ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
米  ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
加  カナダ8月建設許可件数


 ドル円は112円80銭台では底堅い動きを見せたものの、上値が重い展開です。昨日の海外市場での戻り高値も113円39銭で、現時点では方向感も乏しく、次の展開を待っている状況です。

 IMFは9日、世界経済見通し(WEO)を発表しました。貿易戦争を背景に2018年の経済成長率の予測を「3.7%」とし、7月の時点からは「0.3%」引き下げました。世界経済見通しの下方修正は2016年7月以来2年ぶりですが、IMFは、トランプ政権が仕掛けた貿易戦争がさらに激しくなれば、2019年以降さらに景気が下振れし、最大で「0.8%」落ち込むとの見方を示しました。

 特に貿易問題で激しさの増している米中両国の成長率は、現状でも2019年には「0.6%」下振れするが、金融不安につながれば成長率が「6.0%」を割り込む可能性もあると指摘しています。仮に中国の成長率が「6.0%」を下回れば、1990年以来の低成長ということになります。一方米国もその影響は避けられず、最大で「1.0%」低下すると予想されており、大型減税の効果を相殺してしまうとの見方が出ています。そうなると、その影響は米中だけではなく、日本や欧州にも及ぶことからIMFのオブストフェルド主席エコノミストは、世界経済の先行きに強い警戒感を示しています。

 米中関係はここ数年で最悪の状態であることはこの欄でも述べてきましたが、このままの状況では、米中の次官レベルでの貿易協議も先行きが見えません。さらに、トランプ大統領がもう一段の追加関税の発動を言い出す可能性すらあります。貿易戦争がこれ以上激化しないことを祈るばかりですが、当初から懸念されたように、この問題が為替や株式市場にもじわりと影響を与えてくる可能性も徐々に強まっているように思います。

 トランプ大統領は再びFRBの金融政策に不満を表しています。大統領は9日、景気過熱の回避を意図したFRBの利上げについて、「私は気に入らない」とホワイトハウスで発言し、「そう急ぐ必要はないと思う」と語り、さらに、「私は低金利が好きだ」とも述べています。(ブルームバーグ)FRBは先月の会合で、今年3回目となる政策金利の引き上げを決め、現在FF金利は、2-2.25%になっています。

 113円前後で戻ってきたドル円は、もうしばらく調整が続くのか、あるいは再び上昇の波に乗って114円台を回復するのか、現時点では判断できません。市場全体の見方は、為替だけではなく、再び軟調な地合いを見せている株式市場も含めて、「当然の調整局面だ」と受け止めているようです。引き続き貿易戦争は大きな懸念材料ですが、目先は米金利と株価の動きがドル円の方向を決めると見られます。

 本日の予想レンジは112円60銭~113円50銭程度を見ています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)