ドル円は反落。米株式市場で、株価が大きく下落したことで利益確定のドル売りが優勢となり、113円64銭までドルが売られる。為替以外の市場でも、持ち高を解消する動きが目立ち、これまでの楽観ムードも一服。ユーロドルは反発。ドルが売られたことや、EU大統領が、「英国のEU離脱での合意を真剣に考えている」と述べたことなどが材料となり、1.1542まで上昇。

 株式市場は急落。中国が米企業をハッキングしていたとのブルームバーグの報道が売り材料となった。ダウは350ドルほど下げる場面があったが、引け値はマイナス200ドル。ナスダックも大きく売られ、前日比145ポイント下げる。債券相場は小幅ながら続落。長期金利はやや上昇し、3.187%前後で引ける。金は続落。原油価格は利益確定の売りに押され大幅安に。前日比2.08ドル売られ、74ドル台に。

新規失業保険申請件数 → 20.7万件

ドル/円   113.64 ~ 114.21
ユーロ/ドル 1.1493 ~ 1.1542
ユーロ/円  130.74 ~ 131.57
NYダウ   -200.91 → 26,627.48ドル
GOLD   -1.30   → 1,201.60ドル
WTI    -2.08   → 74.33ドル
米10年国債 +0.006  → 3.187%

 
本日の注目イベント

豪  豪8月貿易収支
日  ラガルドINF専務理事が記者会見(都内)
米  新規失業保険申請件数
米  クオールズ・FRB副議長講演


 順調に上昇を続けていたドル円は、久しぶりに「調整らしい調整」を見せました。昨日の朝方には114円55銭までドルが買われたものの、上値の重さを感じながらも底堅い動きでしたが、NY市場では株価が大幅な下落を見せたことをきっかけにドルが売られ、114円台を割り込んでからは、ポジションを解消する動きも出て、113円64銭までドル安が進行しました。この日の高値からは90銭ほど下げる、今回の上昇局面では久しぶりの下落となりました。積み上げたポジションの利益を確定する動きもドルを押し下げたようです。

 米長期金利は小幅に上昇していることで、ドル売り材料にはなっておらず、ドル下落の引き金を引いたのは、株価の大幅下落でした。その株価の下落も、これといった明確な材料が見つけにくい状況でしたが、ブルームバーグの報道が一つのきっかけであったことは確かなようです。ブルームバーグは、中国がマイクロチップを使って米企業をハッキングしていたとの記事を伝えています。さらに米中関係にも緊張が高まっている兆しが見られます。ペンス副大統領は昨日、中国が米国の選挙に介入していると、異例の発言を行っています。

 NY株式市場の急落をきっかに、為替、原油市場など、これまでリスク選好の高まりに伴って買われたものが、巻き戻されたというか格好です。76ドル台まで上昇したWTI原油価格は昨日2ドルを超える下げに転じています。問題はこれで、リスク選好の流れが変わり、楽観ムードが収束に向かうのかどうかという点です。クドロー国家経済会議(NEC)委員長はホワイトハウスで、「個人的な見方としてドルは安定しており、着実かつ信頼できる」と述べています。また「ムニューシン財務長官も、同じ見解だ」とも述べており、足元のドル高を容認するような発言を行っています。

 昨日この欄で、今年2月には株価急落に伴い円高ドル安が進んだことに付いて触れましたが、昨日のNY市場の動きはこれに似ているような気もしますが、単なる杞憂に終わると思っています。ただ相場というものは、特段の理由がなくても、緩やかな下げが続き、その後に大きな下げが発生し、トレンドが変わることもあります。引き続き市場の微妙な変化には注意したいところです。

 本日は、日本株の調整は避けられないでしょう。焦点は、その際にドル円がどこまで下値を試すのかという点です。テクニカルでは113円47銭前後に「200時間線」があり、「4時間足」の雲の上限もこの前後にあることから、113円40-50銭辺りが目先のサポートと考えます。

 また、来週月曜日は祝日で、東京市場は3連休になります。加えて、今夜は恒例の「雇用統計」があります。今日中に、「利益を確保しておきたい」、そう考えるにも意外性はありません。同時に、「雇用統計でドルが上にはねたところを売りたい」と考える人も多いはずです。そういった「売り」がどの程度出てくるのかにも注目です。

 本日のレンジは113円30銭~114円50銭と、上記材料を考慮してやや広めに予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)