ドル円は小幅に反落。イタリアの財政懸念の拡大から円が買われる展開となり、113円53銭までドルが売られた。長期金利の低下も円買いを後押し。ユーロドルはジリ安となり、1.15台で推移。イタリア下院予算委員会のボルギ委員長が、同国は独自通貨の導入で財政問題を解決できると発言したことを材料に、1.1528までユーロ安が進む。

 株式市場ではダウが4日続伸し、最高値を更新。ダウは前日比122ドル上昇し、2万6773ドルで取引を終える。一方ナスダックは37ポイント下落し、節目の8000ポイントを割り込む。債券相場はイタリアの財政懸念や英国のEU離脱への懸念から反発。長期金利は3.06%台まで低下。金は反発して1200ドル台を回復。連日高値を更新していた原油は小幅に反落するも、75ドル台は維持。


ドル/円   113.53 ~ 113.89
ユーロ/ドル 1.1528 ~ 1.1570
ユーロ/円  131.08 ~ 132.51
NYダウ   +122.73 → 26,773.94ドル
GOLD   +15.30  → 1,207.00ドル
WTI    -0.07   → 75.23ドル
米10年国債 -0.020  → 3.063%


本日の注目イベント

豪   豪8月住宅建設許可件数
トルコ トルコ9月消費者物価指数
欧   ユーロ圏9月サービス業PMI(速報値)
欧   ユーロ圏9月総合PMI(速報値)
欧   ユーロ圏8月小売売上高
英   英9月サービス業PMI
米   9月ADP雇用者数
米   9月ISM非製造業景況指数
米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演
米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
米   ブレイナード・FRB理事講演
米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
米   パウエル・FRB議長講演


 連日下値を切り上げ緩やかな上昇を続けているドルは、昨日の朝方に114円台をワンタッチする場面もありましたが、結局ジリ安となり、NY市場では113円53銭まで下落しました。一旦は上昇が止まって下落に転じたものの、下落幅は限定的で、ドルが下げたところを拾いたい投資家にとっては、なかなかそのチャンスが訪れて来ないといった状況です。

 114円台までは緩やかに上昇を続けてきたこともあり、いったんは上げ止まるのは想定内でしょうが、どこまで下値があるかが問題です。昨日のドル円の下落は、トランプ大統領ではなく、イタリアの財政問題でした。2019年から21年の財政赤字を、GDP比2.4%としたイタリアに対して、EU側は修正を求めましたが、イタリアはこれを拒否しており、さらに下院予算委員会のボルギ委員長が「イタリアは、独自通貨の導入で財政問題を解決できるだろう」と、ユーロ圏からの脱退をほのめかす発言をしたことで円が買われました。ECB政策委員会のメンバーである、レーン・フィンランド中銀総裁は「持続可能な公的財政がイタリアの経済回復を促進するとは、極めて考えがたい」と述べ、イタリアの財政赤字案は「深刻な懸念」であると指摘しています。

 現実問題として、イタリアがかつての自国通貨である「リラ」を採用したら、「リラ」は市場で大きく売られ、さらに債券が売られ、金利が急上昇し、インフレが加速し、トルコと似たような状況が想定され、EU及び、通貨ユーロからの離脱は簡単ではありません。EUには加盟していながら自国通貨を維持していた英国が、EUからの離脱を決めたことで、今だに混乱している姿をみれば、その困難さは一目瞭然です。

 パウエルFRB議長は昨日の講演で、「賃金上昇は確認された価格インフレや労働生産性の伸びとおおむね整合しているため、労働市場の過熱を示唆しない」と語っています。また、「賃金の伸び率上昇だけで、必ずしもインフレ的とは言えない」と続けています。(ブルームバーグ)今週末に発表される9月の雇用統計では、平均時給の伸びは2.8%(前年比)と予想されており、8月の2.9%からは若干鈍化すると予想されています。雇用統計では、非農業部門雇用者数と失業率が極めて安定しており、この2つの指標が、今後の金融政策に与える影響は低減しています。そのため市場も平均時給の伸びが今後の利上げのタイミングを左右すると見ています。

 ドル円は114円前後では、上昇にブレイキがかかった感じですが、全体的に見れば底堅い印象です。さすがに今日の日本株は調整すると予想しますが、目先の下値のメドは、113円50~55銭あたりと、その下の113円40銭前後と見ています。この水準を明確に割り込むようだと、「1時間足」では「雲の下抜け」がはっきりと確認されるため、これまでとは異なる「調整」が見られるかもしれません。

 本日のレンジは113円20銭~114円10銭程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)