ドル円は大幅反落。ADP雇用者数が予想を下回り、長期金利が低下した。さらにトランプ大統領が日本との貿易関係に不満との報道が円買いを加速させ、110円51銭までドル安が進む。ドルが売られたことでユーロも上昇。ユーロドルは1.1655まで買われ、終始1.16台で推移。

 株式市場は前日と同じような動きを見せたが、この日はダウが小幅ながら20ドル上昇し、ナスダックは続落。債券相場は反落。長期金利も低下し、2.87%台に。金は3日続伸。原油価格は4日続落し68ドルを割り込む。


新規失業保険申請件数    → 20.3万件
8月ADP雇用者数     → 16.3万人
8月ISM非製造業景況指数 → 58.5

ドル/円   110.51 ~ 111.34
ユーロ/ドル 1.1606 ~ 1.1655
ユーロ/円  128.49 ~ 129.65
NYダウ   -20.88 → 25,995.87ドル
GOLD   +3.00  → 1,204.30ドル
WTI    -0.95  → 67.77ドル
米10年国債 -0.029 → 2.873%


本日の注目イベント

日  7月景気動向指数
中  中国 8月外貨準備高
独  独7月鉱工業生産
独  独7月貿易収支
欧  ユーロ圏4-6月期GDP(確定値)
米  8月雇用統計
米  ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
米  メスター・クリーブランド連銀総裁講演
米  カプラン・ダラス連銀総裁講演
加  カナダ8月就業者数
加  カナダ8月失業率


 ドル円は結局「元の鞘」に戻ったようです。個人的にはこれまでの流れにやや変化が出たことで、ドル高の可能性を意識していましたが、昨日はドルが大きく売られ、今回も震源地はトランプ大統領でした。トランプ大統領は日本の指導者とは良好な関係だとしながらも、「もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」と述べと、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が伝え、トランプ大統領が依然として対日貿易に悩まされているようだと報じたことで、ドル売り円買いが強まり、110円台半ばまで円高が進みました。

 対中国への追加関税発動が近いのではとの観測が高まっていますが、米国の貿易赤字解消という点では、日本との貿易赤字の改善を図ることは避けて通れません。対中国との制裁関税がひと段落すれば、日本を「口撃」してくることは十分予想されます。WSJが伝えたトランプ大統領の発言から判断する限り、大統領は日本のトップとの良い関係を維持してはいますが、心の中ではいつ「本題」を切り出そうか考えているようです。

 本日は8月の雇用統計が発表されます。昨日発表されたADP雇用者数が予想を下回ったことで、今日の数字も下振れするのではないかといった観測も出てきましたが、この両者の相関関係はそれほど強くはありません。予想では、失業率がさらに改善していて「3.8%」、非農業部門雇用者数は先月の17万人から「19.4万人」に増えると予想されています。このところ、雇用統計の結果では為替は動きません。予想より多少多くても少なくても、為替への影響は限定的で、基本的には「米景気は好調」との見方はぶれないということでしょう。ただそれでも、為替へは最も影響力のある経済指標であることに変わりはありません。用心するにこしたことはありません。

 昨日のこの欄で、NYで111円76銭までドル高が進んだ後、軟調な動きになっても111円26銭前後にある日足の「転換線」を上回っていれば、まだ上昇の余地があると書きましたが、足元ではこの水準を大きく下回ってしまいました。この結果、再び111円台半ばが重い展開になるものと予想されます。本日の下値のメドはまずは110円台半ばが意識されます。

 昨日までの上昇で、結局「日足の雲の上限」が抜け切れないため反落しましたが、今度は同じ雲の「下限」が抜けるかどうかです。一目均衡表の「雲」は抵抗帯です。雲がローソク足よりも下にある時は下落を支え、上にある時は上昇を抑える役目をします。もちろん、絶対に抜けないということではなく、「抜けにくい」ということです。仮に110円50銭を明確に下抜けした場合は、110円台前半と、109円80-90銭あたりが次のメドと予想しています。

 本日のレンジは110円10銭~111円10銭程度でしょうか。土日に、中国への追加関税第3弾がニュースにならなければいいのですが。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)