南アフリカランドが軟調に推移している。アルゼンチンやトルコが見舞われた通貨不安が南アフリカにも伝染しつつあるようで、投機筋の次のターゲットとして浮上したとの指摘もある。実際に南アフリカ経済は脆弱であり、国内総生産(GDP)は前期比年率で2四半期連続でマイナス成長を記録している。もっとも、南アランド売りの理由はファンダメンタルズだけにとどまらない。むしろファンダメンタルズ以上に不安視されているのが米国との対立だろう。

 南アフリカが、「白人農場主らの土地を補償なしに収用することが可能になるよう、憲法条項改正に取り組む方針」と発表した事にトランプ米大統領が噛み付いたため、米国による経済制裁への懸念も浮上した。なお、トランプ大統領は「南アフリカで白人が土地を奪われ、大量に殺されている件についてよく検討するよう国務長官に求めた」とツイートした。これに対して南アフリカ政府は、「我が国民を分断することだけを目的にした、植民地主義の過去を思い起こさせる、このような狭い見方を、南アフリカは全面的に拒絶する」という声明を発表している。

 こうした中、南アフリカランド/円は今週だけで5%下落しており、仮にこのまま下落基調が続き、8月13日の「トルコ・ショック」で付けた7.00円台の年初来安値を下抜ければ、2016年に付けた史上最安値の6.20-30円前後が視野に入る。なお、南アフリカはアルゼンチンやトルコと同様に経常赤字国である。本日発表予定の南ア4-6月期経常収支が予想以上の赤字となった場合には、ランド売りがさらに強まる可能性があるため注意しておきたい。(執筆:外為どっとコム 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)