ドル円は111円台半ばから反落。トランプ大統領が中国からの輸入品に2000億ドル相当の関税を発動したいとの考えを示したことや、アルゼンチンペソなど、新興国通貨が再び値下がりしたことで、円が買われた。ドル円は一時110円95銭まで下げる。ユーロドルは小幅に下落。1.16台後半を頭に、1.1642まで売られる。

 株式市場は5日ぶりに反落。米中の貿易を巡る報道を手がかりに売りものが優勢となる。ダウは137ドル下落し、その他の主要株価指数も揃って反落。リスク回避の流れが強まり、債券は買われる。長期金利は2.85%台まで低下。金は続落。原油価格は続伸し、1カ月ぶりに70ドル台に乗せる。


新規失業保険申請件数   → 21.3万件
7月個人所得       → 0.3%
7月個人支出       → 0.4%
7月PCEコアデフレータ → 2.0%

ドル/円   110.95 ~ 111.47
ユーロ/ドル 1.1642 ~ 1.1696
ユーロ/円  129.41 ~ 130.36
NYダウ   -137.65 → 25,986.92ドル
GOLD   -6.50   → 1,205.00ドル
WTI    +0.74   → 70.25ドル
米10年国債 -0.029  → 2.855%


本日の注目イベント

日  8月東京都区部消費者物価指数
日  7月失業率
日  7月鉱工業生産
中  8月製造業PMI(速報値)
中  8月非製造業PMI(速報値)
欧  ユーロ圏7月失業率
欧  ユーロ圏8月消費者物価指数(速報値)
米  8月シカゴ購買部協会景気指数
米  8月ミシガン大学消費者マインド(確定値)


 昨日のコメントでドル円に上昇の余地が出てきたと予想しましたが、結果は真逆の動きでした。東京時間では堅調だったドル円は、NY市場に入ると111円台半ばを頂点にジリジリと下げ、111円を割り込む水準までドル安が進行しました。前日111円83銭までドル高が示現したことで、111円台半ばのレジスタンスゾーンを抜け、日足で「雲抜け」も完成させていましたが、MACDでは「シグナル」が依然としてマイナス圏に留まっていることに警戒感はありましたが、指摘していたように、MACDに収れんされる形でドル円が押し戻されました。111円台半ばでは、もう少し踏ん張れるものと予想していましたが、ここは見事に外してしまいました。

 ドル売りのドライバーになったのが、今回もトランプ大統領の発言でした。既に手続きが進行中でもあり、周知のことではありましたが、トランプ氏が改めて中国への追加関税を発動したいと考えていると、一部の報道が伝えたことが円買いを促しました。またメキシコとの貿易協定には大筋合意しましたが、その協定文書には、輸入自動車に対する数量規制が盛り込まれていることが判明し、これも円買い材料になっています。

 メキシコからの輸入自動車が一定の数量を超えた場合には25%の関税を適用するというものです。一定数とは240万台と見られており、今すぐに適用されるものではありませんが、メキシコからの自動車輸入は着実に増加しており、数年後には240万台に達すると見られています。問題は、トランプ政権が同じことを日本に対しても行ってくると見られていることです。米国の自動車販売台数は今年に入ってからは伸びず、やや頭打ちです。それでも昨年日本からは170万台もの自動車が米国に輸出されています。日本の自動車メーカーが、軸足を米国から中国にシフトしているとはいえ、今後この問題が公にテーブルに載るようだと、円が買われることになりそうです。

 アルゼンチンペソなど、新興国通貨が再び下落基調を強めてきました。昨日は、アルゼンチンペソと、インドルピーが過去最安値を更新しており、ブラジルレアルも大きく下げています。一旦6.00近辺まで上昇したトルコリラも、再び下げ足を早め、6.90近辺まで売られています。このように、新興国通貨が下落すると、それらの国に対するエクスポージャーが多い欧州の銀行などの株が売られ、ユーロなどの下落にも波及します。

 ドル円は再び元のレンジに戻った可能性もありますが、ここから先は上述の米中貿易問題と自動車関税の動向次第です。円が買われたとはいえ、まだ111円前後での動きです。依然として、明確な方向を見つけるのに苦労する展開は変わりません。

 本日のレンジは110円60銭~111円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)