29日の欧米市場でポンドが急騰した。英国の欧州連合(EU)離脱=Brexitを巡り、EU側の首席交渉官であるバルニエ氏が「前例のない特例的な提携関係を英国に提案する用意がある」と発言した事を受けて「合意なき離脱(ハードBrexit)」への警戒感が緩んだ。なお、バルニエ氏はこれまで、「離脱を決めたのは英国であってEUではない」などとして英国に譲歩する考えはないとの姿勢を示してきた。それだけにポンド相場への影響も大きく、ポンド/円は、この発言後に145円台へと一気に切り返した。本日の東京市場でも145.60円台まで上昇する場面があった。目先的に、100日移動平均線や日足一目均衡表の雲が位置する146円台後半への上伸も視野に入りそうだ。

 ただし、バルニエEU首席交渉官の発言内容を鵜呑みにしていいものか不安は残る。EUとしては、英国がEU離脱の「悪しき前例」となる事を強く警戒しているはずだ。移民や難民の受入れを拒否する形でEUを飛び出す英国に、通商面での特例(優遇)措置を認めるとなれば、後に続いて離脱を模索する国が続出しかねない。EU側が一応の交渉期限としている10月まで、まだそれなりの時間を残した中での交渉姿勢の軟化にはなにかしらの裏があるようにも思えてならない。ここは疑り深くあるべきところで、Brexit交渉に関する続報を注視しておきたい。(執筆:外為どっとコム 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)