ドル円は111円台で小動き。パウエルFRB議長は講演で、今後の緩やかな利上げを維持しながらも、利上げを急がない姿勢を見せたことで、ドル円は若干売られ、111円10銭を付ける。ドルの高値は111円45銭。ユーロドルは小幅に買い戻され、1.1640まで上昇。ユーロドルの上昇に伴い、ユーロ円も129円台半ばまで買われ、2週間ぶりの高値を記録。株式市場はパウエル議長の講演内容を好感し上昇。ダウは133ドル上昇し高値に迫り、S&P500は17ポイント上昇し、今年1月以来となる最高値を更新。パウエル講演で、利上げを急がないとの姿勢を好感し、債券価格は上昇。長期金利は2.81%台に低下。金は大幅に反発し、原油も続伸。

7月耐久財受注   → 0.2%

 

ドル/円111.10 ~ 111.45

ユーロ/ドル1.1582 ~ 1.1640

ユーロ/円  128.91~ 129.42

NYダウ  +133.37 → 25,790.35ドル

GOLD  +19.30 →1,213.30ドル 

WTI  +0.89  →68.72ドル 

米10年国債 -0.016 → 2.810%

本日の注目イベント

中   中国 7月工業利益
独   独8月ifo景況感指数

 ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演は、「ハト派的」と受け止められ、ドル円は講演後やや売られましたが、それでも111円台はしっかり維持しています。講演で議長は「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」と述べ、「利上げを急げば景気後退のリスクを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱を招く」と指摘。さらに、物価上昇については「2%を超えて加速する明確な兆しはみえず、加熱するリスクの高まりもない」と述べています。

 この発言から一部には、FRBは2019年にも利上げ路線を停止するのではないかとの見方が浮上しています。
今回ジャクソンホールのシンポジュームに参加したダラス連銀のカプラン総裁も、「あと3、4回の追加利上げは適切だが、その後はいったん離れて、さまざまな経済指標を点検すべきだ」と語っています。(ブルームバーグ)FRBの政策金利であるFF金利の誘導目標は現在、1.75%~2.00%で、仮に、9月に利上げを断行しても2.00%~2.25%になります。かつて、この政策金利は8%だったこともあり、カプラン総裁の予想に従えば、2.75%~3.00%で、政策金利は一旦落ち着くことになり、ドルにとっては買い材料の一つがなくなることにもなります。

 見方によっては今回のパウエル議長の発言は、先週のトランプ大統領の圧力を考慮した発言だったと捉える向きもあるようですが、「利上げは嬉しくない」と発言する以前から市場には、FF金利の適正水準は過去の水準に比べて、かなり低く留まるといった見方もありました。今回の発言の趣旨が、パウエル議長がトランプ氏を「忖度」した結果であるとは思えませんが、この講演を受けて、米国株は急伸し、S&P500は史上最高値を更新し、ダウも再び最高値に迫ってくるなど、株価は堅調に推移しています。

 債券市場でも、債券が買われ、長期金利も3%から緩やかな低下傾向を見せています。先週末の長期金利は2.81%台まで低下し、一方で政策金利の影響を受けやすい2年もの金利は上昇し、2年と10年の金利差はさらに縮小して、20bp程度にまでなって来ました。イールドカーブの長短逆転が起これば、過去の事例では景気の後退を示しており、今後そう遠くない時期に米景気がピークアウトすることも予想されます。

 ドル円は111円台で堅調に推移しています。上記、「ハト派的」な発言もあり、さらには今週予定されていたポンペオ国務長官の訪朝が突然中止されたことも、円買い材料になりますが、今の所大きな影響はないようです。今回の突然の中止は、「朝鮮半島の非核化が十分な進展が見られないと感じている」ことを理由に、トランプ大統領がポンペオ氏に求めたものとされていますが、一方で「金正恩委員長との再会を楽しみにしている」ともツイートしています。

 ドル円は111円台をしっかりとキープしていますが、111円台半ば前後が抜け切れない展開が続いています。テクニカルでも、一目均衡表の「雲の上限」(日足)が111円60銭前後にあり、これが意識されている面もあろうかと思います。やはり111円80銭辺りが抜けるかどうかが、今後の展開にとっても重要だと思われます。本日は、先ずは111円台が維持されるかどうかと、上値は上記111円50銭~111円80銭辺りのレジスタンスゾーンを抜けるかどうかが焦点になります。予想レンンジは110円80銭~111円70銭程度を見ています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)