証券、および、証券関連業界が一丸となって先端技術を活用した新たな金融インフラの検討をめざす「証券コンソーシアム」は8月22日、第2回全体会議を開催し、参加企業数が51社に拡大したことを報告。また、3つのワーキンググループの進捗状況について確認した。同コンソーシアムの会長を務めるSBIホールディングス代表取締役社長の北尾吉孝氏は、「それぞれのワーキンググループにおいて参加企業の英知を結集し、迅速に成果を生み出していきたい」と技術の実用化への強い意気込みを示した。
 
 今年4月19日に発足した証券コンソーシアムは、発足当初の参加企業35社が51社にまで拡大。NTTデータ、日本オラクル、ソフトバンクなど、証券関連のシステム会社の参加が増えた。
 
 現在は3つのワーキンググループを設立し、その活動の中間報告を行った。対面・非対面による新しい本人認証・本人確認(KYC)の方法について検討している「KYC共通化ワーキンググループ」(リーダー企業:楽天証券)は、「改正犯罪収益移転防止法(犯収法)」の規制強化を念頭に、タイムリーな本人確認の仕組みの実現を検討。「現在は、ほとんどの証券会社が口座開設時に1度だけ行っている本人確認を、必要に応じて都度行えるようにする」ことをめざす。リーダー企業の楽天証券が10月にも新しい仕組みを使った試験を開始し、実証結果などを踏まえて業界共通の仕組みを設計。来年10月以降に実装することをめざしている。
 
 また、各種証券事務の業務効率化・高度化をめざす「共通事務ワーキンググループ」(リーダー企業:SBI証券)では、各種の課題をテーマごとの「サブワーキング」を立ち上げて、IT企業等の協力も得ながら課題解決をめざす。第一弾のサブワーキングとして取り上げる「売買審査AI適用サブワーキング」では、SBI証券が検証中のAI(人工知能)を用いた不公正取引検知システムの実証データなどを検証し、業界共通のインフラとして活用できないかを検討する。過去データを用いた検証によると、人手のみで行う売買審査に必要なコストの52%~90%削減できることを確認。現行運用の中での有用性を検証していく。早ければ、来年5月以降にも実用化をめざす。
 
 そして、分散台帳技術(DLT)の証券業界への実装を見据えた実証実験に取り組む「DLT先端実験ワーキンググループ」(リーダー企業:野村ホールディングス)は、まずは、DLT概論や多業界での活用事例など外部講師を中心に勉強会を開催。並行して証券業界への実装を見据えた協議を行い、先端実験(POC)を来年1月以降に実施する方針で準備を進めている。
 
 同コンソーシアムの副会長会社の1社である野村ホールディングスの執行役員 八木忠三郎氏は、「証券業務には、フロントサービスのような競争分野と、バックオフィス業務などの非競争分野がある。競争分野では各社が独自に特徴を磨いていけば良いが、非競争分野では連携して全体でコストを下げる努力をすべきだ」と語り、業界全体でのコスト削減が投資家に還元されることによって、貯蓄から資産形成への動きが加速されると、コンソーシアムの意義を強調した。(写真は、証券コンソーシアムの第2回全体会議であいさつに立った同コンソーシアム会長の北尾吉孝氏)