中国の景気減速感が強まってきている。大和総研経済調査部の主席研究員 齋藤尚登氏は8月21日、「内憂外患の中国、困った時のインフラ頼み」と題したレポート(全9ページ)を発表し、中国経済の現状分析を行っている。内憂とは、デレバレッジ(負債率引き下げ)の行き過ぎによるインフラ投資の急減。外患とは、米国との貿易摩擦を指している。中国政府は既に、景気が急激に減速しないように景気対策を重視した政策への転換を明確にしているが、それが無駄な投資を重ねることにつながらないか厳しい監視が必要になるところだ。齋藤氏のレポートの要旨は以下のとおり。
 
◆中国経済は内憂外患という状況になっている。内憂とは行きすぎたデレバレッジ(負債率引き下げ)の影響であり、外患は米中貿易摩擦問題の深刻化である。後者について、7月に関税率が追加で25%引き上げられたのは、米中それぞれ年間340億ドル分であり、貿易面ですぐさま大きな影響が出るとは考えにくい。しかし、企業の景況感や消費者のセンチメントは既にその影響を受けている。
 
◆中国政府は景気サポートを強化している。今後は、金融リスク低減のためのデレバレッジを適度に継続しつつ、景気減速は緩やかなものにとどめる、というのがあるべき姿になろう。しかし、7月末に開催された党中央政治局会議では、弱点(インフラ)の補強がデレバレッジより優先されることが明示された。結局のところ、中国では、デレバレッジを当面の間は棚上げにし、困った時のインフラ頼みが繰り返される可能性が高まっている。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)