ドル円は110円台半ばから急落。ブルームバーグが、トランプ大統領がFRB議長に対して不満を漏らし、政策金利引き上げに批判的だと伝えたことでドル売りが加速。一時は110円02銭まで円高が進み、この日の安値圏で引ける。ドル売りが優勢だったことで、ユーロドルも反発。ユーロドルは1.1485まで買い戻される。ベネズエラ政府は、急激なインフレに対応するため、同国の通貨ボリバルの通貨単位を5ケタ切り下げるデノミを実施。

 株式市場は続伸。米中貿易問題に楽観的な見方があり、ダウは3日続伸し、2万5700ドル台を回復。債券相場は続伸。著名投資家ガンドラック氏が、債券のショートポジションは将来の痛みにつながる可能性があると指摘したことが材料視された、長期金利は2.81%台まで低下。金と原油は続伸。


ドル/円   110.02 ~ 110.58
ユーロ/ドル 1.1417 ~ 1.1485
ユーロ/円  126.14 ~ 126.46
NYダウ   +89.37 → 25,758.69ドル
GOLD   +10.40 → 1,194.60ドル
WTI    +0.52  → 66.43ドル
米10年国債 -0.042 → 2.819%


本日の注目イベント

豪  RBA議事録


 今朝も話題の中心はやはり「トランプ大統領」です。昨日のNY市場では、特に重要な経済指標の発表も無く、大きな動きはないと予想していましたが、ドル円は一時110円02銭まで円高が進み、今月13日に記録した直近のドル安値である110円11銭を若干ですが、下回っています。トランプ大統領が、自身が指名したパウエルFRB議長に不満を抱き、低金利期待が外れた、と共和党支持者に不満を漏らしていることをブルームバーグが伝えました。

 ブルームバーグの記事によると、トランプ大統領は、パウエル議長について、低金利政策を取ると見込んでいたが逆に金利を引き上げていると、NY州のハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで共和党支持者に不満を漏らしたとあります。トランプ大統領はこれまでも、最近の利上げについて公に不満を漏らしてはいますが、「今回の非公開のイベントでの発言は、パウエル議長に対する最も直接的な批判にあたる」と、ブルームバーグは論じています。ホワイトハウスのギドリー報道官は、「非公開イベントでの発言だ」としてコメントを控えていると同記事は伝えています。

 トランプ氏の本日の登場はこれだけではありません。貿易問題で対立している中国とEUに対して、為替操作をしていると非難しています。ロイター通信は20日、トランプ大統領とのインタビューで、「私は中国が為替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」と述べたと報じています。さらにトランプ氏はトルコに関しても言及しています。トランプ大統領は、米国人牧師の釈放を実現するためにトルコに「譲歩することはない」と言明するとともに、米国の報復関税が欧州経済に打撃を与えることを懸念していないと発言したと、こちらもロイター通信が伝えています。まさに「カラスが鳴かない日はあっても、トランプ大統領が本欄に登場しない日はない」状況です。

 今週の市場の眼は、明日から始まる米中次官級通商協議の行方と、トルコに対する追加制裁の発動、そして今週末のジャクソンンホールでのパウエル議長の講演です。上でも述べたように、トランプ氏は露骨に自身が指名したパウエル議長の金融政策を批判しています。9月のFOMCでの利上げは先ず間違いないと思われますが、その後の利上げに対するニュアンスがどのようになるのか、注目されます。トランプ氏が中央銀行の独立性に介入するとすれば、これは暴挙で、トルコのエルドアン大統領と何ら変わりません。まさか世界で最も金融秩序が守られている米国で、金融政策が国のトップの影響を受けるとは思えませんが、週末の講演には注目したいと思います。

 ドル円は朝方の取り引きでついに110円を割り込み、109円台後半に突入しています。先週にもこの欄で、ドル円を取り巻く環境を見ると、「円高材料」の方が多いと述べてきました。110円割れは、6月下旬以来約2カ月ぶりのことです。110円割れは非常に重要な意味合いを持つと考えています。輸出企業の想定レートは概ね105~107円程度ですが、110円を割り込んだことで、早めの予約を取る動きも出てくるでしょう。これは、ドルの戻りを抑える要因になります。注目すべきは、「日足」で、雲を下抜けし、さらにMACDでも「マイナス圏」に沈んできたという事実です。トレンドが変わってきたという意味で、この点には注意が必要です。

 本日のレンジは109円50銭~110円40銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)