トルコに対する不安がやや後退したことに加え、米中貿易問題で対話の場が持たれるとの報道でドル円は反発。111円12銭までドル高が進み、その後やや押され、110円80-90で銭引ける。ユーロドルも反発。前日1.13割れ目前まで売られたユーロは1.14台まで買い戻しが優勢に。トルコ情勢がやや好転したことで対円でも買い戻しが進んだ。

 株式市場は大幅に反発。ウォールマートの決算や米中通商協議の再開を好感し、ダウは400ドルに迫る上昇を記録。他の主要株価指数も軒並み上昇し、ほぼ全面高で取り引きを終える。債券相場は前日とほぼ変わらず。長期金利は若干上昇し、2.866%程度で推移。金は続落し、直近安値を更新。一時は1167ドルまで売られたが、1184ドル前後まで値を戻す。原油価格は反発。


7月住宅着工件数         → 116.8万件
7月建設許可件数         → 131.1万件
新規失業保険申請件数       → 21.2万件
8月フィラデルフィア連銀景況指数 → 11.9

ドル/円   110.56 ~ 111.12
ユーロ/ドル 1.1348 ~ 1.1409
ユーロ/円  125.70 ~ 126.49
NYダウ   +396.32 → 25,558.73ドル
GOLD   -1.00   → 1,184.00ドル
WTI    +0.45   → 65.46ドル
米10年国債 +0.004  → 2.866%

 本日の注目イベント

欧  ユーロ圏7月消費者物価指数(改定値)
米  8月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米  7月景気先行指標総合指数
加  カナダ7月消費者物価指数


 昨日の東京の朝方には日経平均株価が300円を超える下げを見せ、ドル円も歩調を合わせるかのように、110円46銭前後まで円高が進みました。ところがその直後に、「中国商務次官が月内に通商協議のため訪米する」とブルームバーグが一報を伝えると、ドル円は110円台後半までドル買いが進み、株価は一時プラスに転じました。米中貿易問題の行方が如何に市場に大きな影響を与えているのかが分かる瞬間でした。

 NY市場でもこのニュースが好感され、ダウは400ドル近い上昇を記録し、ほぼ全面高の展開でした。ただその割にはドル円の上昇は111円12銭止まりで、物足りない印象です。トルコに対する支援を、中東オマーンが申し出たのに加え、昨日はドイツの援助の報道もありましたが、トランプ政権の強気の姿勢は変わらず、ムニューシン財務長官は「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」と述べています。

 中国商務省がウェブサイトで掲載した声明によると、王次官率いる中国代表団は米国の招請に応じ、マルパス財務次官ら米当局者と会談するとあります。また協議の日程は今月22日と23日に予定されているとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は伝えています。(ブルームバーグ)米中貿易戦争は、両国が相手国製品に対してそれぞれ500億ドル(約5兆5000億円)の関税をかけるところまでエスカレートしています。さらに米国は2000億ドル(約22兆円)の追加関税を検討しており、その内容も発表しており、中国側もそれに対する報復措置を検討している状況で、終息の道筋が見えません。トランプ大統領が振り上げた刀を納める可能性は低く、結局中国側が何らかの譲歩案を示すしかありません。

 これに関してクドロー国家経済会議(NEC)委員長は16日、「中国が代表団を送ってくることは良いことだ。しばらく、こういったことはなかった」と語り、「知的財産権侵害と技術の移転強要の阻止を図り、関税と非関税障壁、割り当ての撤廃を目指すこの戦いを続けるトランプ大統領のタフさと意志を、中国当局は決して侮るべきではない」(ブルームバーグ)と、通商協議再開を歓迎しながらも、釘を刺しています。この協議で、中国側が米国をある程度納得させる、具体的な方策を示すことができるのかが焦点ですが、協議が平行線で終わることも頭にいれておくべきでしょう。中国銀行のアナリストも、「予断を許さないだろう。仮に高官クラスが合意に達したとしても、トランプ大統領がひっくり返す可能性があり、合意内容が変わり得る」と述べています。

 ドル円はほぼ昨日の予想した上限で止まりました。110円がかなりしっかりしているものの、111円台半ばから上下30銭程度のエリアが重くなっているのも事実です。材料的にはまだ円高に振れる材料の方が多いと思われます。それでもドル円が思ったほど下げないのは、先月の日銀金融会合でまだしばらく超低金利政策が継続されることが確認されたことで、日米金利差に着目した「円キャリー取り引き」が行われていることが指摘されます。米長期金利は3%台がなかなか定着しないとは言え、足元でも2.8~2.9%程度で推移しており、かつての「高金利通貨の代表」であった、豪ドル、NZドルに比べても魅力的です。加えて、今回の「トルコショック」に代表されるように、「あまり高金利過ぎても」新興国通貨特有の流動性の問題もあります。「それならば、米ドルでも」といったところかもしれません。

 本日は米国株の大幅高を受けて、日本株も200~300円程度の上昇を見込んでいますが、ドル円も底堅い動きが予想されます。レンジとしては、110円50銭~111円50銭程度と見ています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)