■南アフリカ及びジンバブエでプラチナ採掘を行うインパラ

 南アフリカでプラチナ採掘を行う資源企業として、すでにロンミン、アングロ・アメリカン・プラチナムを取り上げました。今回は、もう一つの大手企業、インパラを簡単に見てみたいと思います。アフリカでインパラというと鹿のような動物がいますが、それを思い浮かべる方が多いかもしれません。実際、インパラ社のロゴは、そのインパラになっています。

 このインパラですが、正式名称は、インパラ・プラチナム・ホールディングス・リミテッド(以下単に「インパラ」と表記します)で、通称インプラッツと呼ばれています。ヨハネスバーグ証券取引所に上場しており、ジンバブエや遠くはカナダでもプラチナ採掘の権限を持っています。プラチナを採掘する資源企業としては、世界有数の企業と言ってよいでしょう。

 このインパラは、元々は、ビショップゲート・プラチナム・リミテッド社の完全子会社でした。1960年代から操業を行っており、1970年代になり、排ガス基準などが厳しくなったことからプラチナ需要が高まっていきます。1973年には、インパラはヨハネスブルグ証券取引所に上場します。その後、1978年に親会社であるビショップが、インパラ・プラチナム・ホールディングスに名称変更します。そして、現在では、南アフリカでは、第2位のプラチナ採掘・精製を行う資源企業に成長しました。

■インパラのここ数年の状況

 2012年8月のロンミンにおけるストライキで多数の死者が出たことに代表されるように、2010年代のプラチナ生産をめぐる環境は、厳しいものがありました。その基調はまだ続いているといってよいでしょう。

 また、2017年においては、処理施設における技術的問題が発生したので、在庫が積みあがりました(注)。この在庫は、2018年に持ち越されて処理されると予測されています。

 ストライキで揺れた2012年以降、インパラにおけるプラチナ生産は、微増を続けています。しかし、Johnson Mattheyのレポートでも指摘されているように事業環境は依然として厳しく、安全上の操業停止と社会の混乱が主因となって、採掘作業が散発的に中断する状況が依然続いており、急速に改善されることは現時点では予測できない状況といえるでしょう。

 現在のプラチナ市場の価格の状況、労使関係とそれに伴う事業環境の厳しさ、こうしたことが南アフリカのプラチナ生産を取り巻く厳しい条件を作り出しています。
 希少性の高いプラチナの生産は、この南アフリカの状況改善なくしては、安定した供給ができません。まさに、プラチナ市場の今後のかぎとなる問題と思われます。

■終わりに

 これまでに、ロンミン、アングロ・アメリカン・プラチナムと触れ、そして今回インパラに触れました。これで、南アフリカのプラチナ生産を行う三大資源企業を取り上げたことになります。プラチナの価格の現況を見ると、採算性についてはこの三社の経営は依然厳しい状況にあるといってよいでしょう。

 長期的に希少性を強めつつも、南アフリカ特有の事情、すなわち新たな政権とその取り組み、労働者の地位向上とストライキ、失業率の高さ、南アフリカの通貨ランドの推移などとの間で、プラチナ価格はしばらく揺れ動くことが予想されると思います。

 インパラという個別企業もこうした動きの中で、どのような戦略を打ち出してくるか引き続き注視しておかなければならないでしょう。

 今回は、南アフリカ及びジンバブエでプラチナ採掘を行うインパラと題してお話しいたしました。

(注)Johnson Matthey PGM市場レポート2018年2月要約分参照(情報提供:SBIゴールド)(イメージ写真提供:123RF)