ドル円は上値がやや重くなり、昨日は欧州市場で110円84銭前後までドル安が進む場面があり、NY市場でも110円90銭までドルが売られた。米中の貿易摩擦が一段とエスカレートしたことや、英国のEU離脱問題でリスク回避の流れが進んだことが背景。ユーロドルは再び1.16を挟む展開に戻る。1.1620まで買われたものの、切り返して1.1574まで売られる。株式市場はまちまち。米中貿易問題で、中国側も23日から報復関税を発動することが発表されたが、影響は軽微。原油価格が大幅に下げたことで、石油株が売られ、ダウは45ドル安。一方ナスダックは7日続伸。金は続伸。原油価格は在庫が予想以上に増えていたことや、米中貿易戦争が激化すれば原油消費量も減るとの見通しから大幅安。前日比2.23ドル安の66.94ドルで引ける。

ドル/円110.90 ~ 111.19

ユーロ/ドル1.1574 ~ 1.1620

ユーロ/円  128.64~ 128.95

NYダウ  -45.16 → 25,583.75ドル

GOLD  +2.70 →1,221.00ドル 

WTI  -2.23  →66.94ドル 

米10年国債 -0.013 → 2.960%

 
本日の注目イベント

中  中国 7月消費者物価指数
中  中国 7月生産者物価指数
欧  ECB月報
米  新規失業保険申請件数
米  7月生産者物価指数
米  日米貿易協議(ワシントン)
加  カナダ7月住宅着工件数


 ドル円はこれまでより若干上値を抑えられている状況です。昨日も朝方の111円35銭近辺からドルが緩やかに下落し、欧州時間には110円84銭までドル安が進んでいます。前日よりはやや深押ししましたが、それでも売り方に勢いはなく、懸念材料があるものの、依然として110-113円の「基本レンジ」は維持していると考えられます。

 米国が160億ドル(約1兆7800億円)の追加関税を23日に発動することを受けて、中国は新たに同額の米国製品を対象に今月23日から25%の報復関税を課すことを発表しました。この事態は予想されていたため、市場への影響はありませんでしたが、これにより先にトランプ政権が発表した追加関税と同規模な500億ドル相当の関税額にまで膨れ上がってきました。中国政府は発表文で、中国製品160億ドル相当に25%の追加関税をかけるという米国の決定は「非常に理不尽だ」とし、正当な利益と多国間貿易体制を守るため報復せざるを得ないと表明しました。この声明文の内容を読むと、米中どちらが、かつての西側諸国か東側諸国か、判らなくなってきます。

 問題はこの後、トランプ政権が現在検討している2000億ドル相当の追加関税までエスカレートしてしまうのか、そして場合によっては5000億ドルという、中国からの輸入額全てに高関税を課すところまで行くのかどうかです。2000億ドルの追加関税については、9月6日の意見公募期間終了後に直ちに発動される可能性もあり、中国側も、もし同関税が発動された場合、米製品600億ドル相当に関税をかける用意が整っていると、ブルームバーグは伝えています。「貿易戦争」という名の足音がひたひたと迫って来ている印象です。

 貿易問題ではやや蚊帳の外のイメージの日本ですが、本日からワシントンでは日米閣僚級の貿易協議が行われます。2017年1月のトランプ政権発足時からの親密な日米関係を考えれば、「日本は例外的」だとする見方もあるようですが、個人的にはそのようなことはないと思っています。トランプ大統領はかつて、日本はこれまで米国をだましてきて、貿易で甘い汁をすってきたが、もう 米国はだまされない。といった趣旨の発言をしています。貿易赤字を減らすことが趣旨であれば、その最大の品目は自動車です。自動車の輸入問題を除外することは考えられません。

 現在日本から米国へは約170万台の車が輸出されています。さらに、日本の自動車メーカーはメキシコやカナダからも現地で生産した車を米国に輸出しています。トランプ政権がこれに手をつけないことはないと思われ、何らかの圧力をかけて来ると予想されます。足元のドル円がやや軟調なのもこれが重石となっている部分があります。本日のドル円は110円50銭~111円30銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)