アイリッジ <3917> (東マ)は、スマホ向けO2Oソリューション事業を主力として、電子地域通貨事業も加速している。18年7月期は開発案件大型化の影響で減益予想だが、ストック型収益の月額報酬は大幅増収基調であり、19年7月期は収益改善が期待される。株価は戻り高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。
 
■O2Oソリューション事業が主力
 
 自社開発の位置情報連動型プッシュ通知ASPのpopinfo提供から、popinfo搭載O2Oアプリ企画・開発、集客・販促を中心としたO2Oマーケティング企画・運用支援まで、企業のO2Oマーケティングを支援するO2Oソリューション事業を主力としている。
 
 デジタルガレージ <4819> と業務・資本提携した。デジタルガレージに対して第三者割当増資を実施し、デジタルガレージが当社の第2位株主となった。またデジタルガレージが設立したDGマーケティングデザインの株式80%、DGコミュニケーションズの株式14%を取得した。デジタルマーケティング・ソリューションやマーケティング・フィンテック領域において連携する。
 
 また18年6月には、ロケーションデータ(位置情報)を活用した広告配信を展開するクロスロケーションズと、ロケーションビジネス領域において業務提携し、同社株式の一部を取得した。
 
■popinfo導入アプリ数・利用ユーザー数は増加基調
 
 popinfoはスマホアプリに組み込み、アプリユーザーのスマホ待ち受け画面に伝えたい商品・イベント・クーポンなどの情報やメッセージを、プッシュ通知によって配信できるO2Oソリューションである。実店舗への誘導・集客や販売促進に高い効果を発揮する。O2Oマーケティングやオムニチャネル化の進展も背景として、業種を問わず大企業のアプリ中心に採用されている。
 
 09年にサービス開始したpopinfoの利用ユーザー数(プッシュ通知配信に同意したユーザー数、アプリごとにカウント)は14年1月1000万突破、15年3月2000万突破、16年1月3000万突破、16年5月4000万突破、16年11月5000万突破、17年4月6000万突破、17年6月6500万突破、17年9月7000万突破、17年11月7500万突破、18年2月8000万を突破した。導入アプリ数およびアプリ利用ユーザー数とも増加基調である。
 
 なおpopinfo利用ユーザー数の目標は20年を目途に1億人超としている。
 
■ストック型収益の構成比上昇期待
 
 収益はアプリ利用ユーザー数に応じた従量課金型の月額報酬(popinfoサービスのライセンス収入)、およびアプリ開発・コンサル等(popinfoを組み込んだO2Oアプリ開発に係る収入、O2O促進マーケティングに係る収入)である。月額報酬はpopinfo利用ユーザー数増加に伴って収益が積み上がるストック型収益である。
 
 現在はアプリ開発・コンサル等の売上高構成比が高いため、多くの取引先の決算月(3月)を含む第3四半期の構成比が高い特性がある。また案件の大型化に伴ってアプリ開発・コンサル等の四半期売上が変動しやすい特性がある。ただしpopinfo利用ユーザー数が増加基調であり、今後はストック型収益の月額報酬の構成比上昇と収益拡大が期待される。
 
■電子地域通貨事業など新規事業も加速
 
 中期成長戦略としてFinTechソリューションの拡大を目指し、O2O事業の進化(より効果の高いスマートフォン・マーケティングの提供)、新規事業・サービスへの取り組み(継続した新規事業・サービスの創出・育成・収益化)、組織力向上(積極的な採用活動と経営基盤の強化)、成長を加速するための積極的なM&Aの検討に取り組んでいる。
 
 新規事業関連では電子地域通貨事業の展開を加速している。17年7月電子地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」をベースとして、企業内電子通貨「オフィスコイン」の提供開始を発表した。17年11月には「MoneyEasy」が、ハウステンボスが決済システム実証実験として導入する電子通貨「テンボスコイン」に採用された。
 
 飛騨信用組合と共同で取り組んでいるスマホアプリを活用した電子地域通貨プラットフォーム「さるぼぼコイン」は、17年12月から約100店舗が加盟して、地元住民および観光客向けに商用化スタートした。金融機関による地域通貨の電子化は業界初である。
 
 18年2月には伊予銀行と電子地域通貨「IYOGIN CO-in」の実証実験、18年3月には木更津市役所、木更津商工会議所、君津信用組合が取り組む電子地域通貨アクアコイン(仮称)の実証実験を開始した。
 
 18年6月には電子地域通貨事業に関して、デジタルガレージ、日本ATM、飛騨信用組合、ひだしんイノベーションパートナーズが運営する「飛騨・高山さるぼぼ結ファンド2号」(本提携先)と業務・資本提携した。子会社として設立する分割準備会社(Fintech子会社=フィノバレー)に電子地域通貨事業を承継し、Fintech子会社が本提携先に対して第三者割当増資(18年8月予定)を行う。電子地域通貨事業の展開を加速する。
 
 なお18年6月には、18年8月サービス開始予定のスマートスピーカー向けアプリ開発プラットフォーム「noid」の事前登録開始を発表している。
 
■18年7月期減益予想だが、19年7月期の収益改善期待
 
 18年7月期の非連結業績予想(3月2日に売上高、利益とも減額修正)は、売上高が15億円~16億円、営業利益が50百万円~1億円、経常利益が50百万円~1億円、純利益が35百万円~70百万円のレンジ予想としている。
 
 17年7月期との比較で見ると、売上高が0.4%増収~7.1%増収、営業利益が76.3%減益~52.6%減益、経常利益が76.4%減益~52.7%減益、純利益が76.9%減益~53.8%減益となる。
 
 スマホ・マーケティングへの取り組み拡大でアプリ開発案件が大型化・長期化し、事業年度をまたぐ案件が増加しているため、アプリ開発・コンサル等の売上が期初計画を下回る見込みだ。また積極的な人材採用に伴う採用費や人件費の増加も影響して減益予想である。なお18年4月末時点のpopinfo利用ユーザー数は17年7月期末比1466万人増加の8235万人となった。
 
 18年7月期は開発案件の大型化・長期化の影響で大幅減益予想だが、popinfo利用ユーザー数が8000万を突破し、ストック型収益である月額報酬の大幅増収基調に変化はない。19年7月期はストック型収益の伸長などで収益改善が期待される。
 
 なお配当は無配継続としている。将来的には利益還元を検討するが、当面は成長投資に備えて内部留保の充実を図る方針で、配当実施の可能性および実施時期等については現時点において未定としている。
 
■株価は調整一巡して出直り期待
 
 株価は7月2日の戻り高値2044円から反落し、8月7日には1627円まで調整した。8月7日の終値は1679円、前期推定PER(会社予想のレンジ下限EPS6円28銭で算出)は約267倍、前々期実績PBR(前々期実績BPS189円64銭で算出)は約8.9倍、時価総額は約110億円である。
 
 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る形だ。調整一巡して出直りを期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)