中国政府は政治局会議において、今年度下半期について「積極的な財政政策と穏健な金融政策を堅持する」という方針を確認した。大和総研経済調査部の主席研究員 齋藤尚登氏は8月6日に「景気重視への転換の先にあるリスク」と題したレポート(全3ページ)を発表し、今後の政策運営について「構造改革が先送りにされ、地方政府の積極性がいたずらに刺激される可能性がある」と一抹の懸念を示した。レポートの要旨は以下の通り。
 
◆景気減速懸念が高まる中、7月23日の国務院常務会議は、【1】財政政策の一段の積極化、【2】金融政策の穏健中立から穏健への変更、【3】小型・零細企業へのサポート強化、【4】建設中のプロジェクトの資金手当て支援、といった景気サポート策を発表した。さらに、7月31日の政治局会議は、(1)経済の安定した健全な発展を維持し、積極的な財政政策と穏健な金融政策を堅持する、(2)「弱点の補強」をサプライサイドの構造改革の当面の重点に置き、インフラ分野の「弱点の補強」に注力する、などの方針を打ち出した。
 
◆今後は、金融リスク低減のためのデレバレッジ(負債率の引き下げ)を適度に継続しつつ、景気減速は緩やかなものにとどめる、というのがあるべき姿になろう。しかし、大和総研では構造改革が先送りにされ、地方政府の積極性がいたずらに刺激される可能性を懸念している。地方政府が望む「緩和」によって、景気減速に歯止めが掛かるだけでなく、加速する可能性すらある。しかし、その代わりに債務問題が一段と深刻化するのであれば、あまり質の良い話とは言えまい。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)