明治安田アセットマネジメントは先ごろ、女性を対象とした投資セミナーで講演し、投資経験のない女性が、これから投資を始めるにあたって心掛けたいポイントを解説した。同社のシニア・ポートフォリオ・マネージャーである伊藤恵里氏と山本香澄氏、そして、営業企画担当の前田幸恵氏は、投資信託のファンドマネージャーが投資対象を選定するポイント等を解説し、投資信託を使った資産形成の検討を呼びかけた。セミナーの要旨は、以下の通り。
 
◆様々な不動産に投資し、高い分配金利回りがあるリートの魅力
 
前田:ファンドを運用しているファンドマネージャーに、どのような視点で銘柄を選んでいるのかなどを聞いていきます。伊藤は、Jリートの運用を担当しているファンドマネージャーです。山本は、中小型株の運用を担当しています。まず、伊藤マネージャーからJリートの魅力について紹介します。
 
伊藤:「リート」をご存知でしょうか? 不動産投資信託のことです。不動産に投資し、賃料収入や売却益を投資家に分配する商品です。利益の90%以上を投資家に分配すると法人税を免除されるという税制の特典があるため、リートは、利益のほとんどを配当として投資家に分配しています。このため、分配金利回りが高いという特徴があります。
 
 実物の不動産を購入しようとすると、数千万円から数億円単位の資金と管理の手間がかかりますが、「リート」やリートに投資する投資信託ではプロが管理するものを1万円台から購入できます。
 
 現在、「Jリート」として東証に上場している銘柄は59銘柄あります。決算は年に2回ですが、決算月がずれていますので、上手に銘柄を選べば、毎月分配金を受け取るような組み合わせを作ることもできます。
 
 Jリートの保有不動産は、東京23区を中心に、関東・近畿の大都市部で85%を占めます。物件の種類としては、オフィスが半分程度で、商業施設、住宅、ホテルなど様々な物件に投資していることが特徴です。最近では、ネット通販の盛り上がりなどで物流施設が成長分野といわれています。
 
前田:伊藤マネージャーが注目しているJリートは?
 
伊藤:オフィスリートに注目しています。賃料が上昇傾向にあって、分配金の増加が期待されるからです。オフィスというと、都心部では大型ビルの開発が相次いでいて、2020年までは供給が多いですが、実際の賃貸需要をみると、既に2018年に竣工するビルは、ほぼ100%借り手が決まっています。2019年に竣工するビルでも7割程度はテナントが決まっている状況で、オフィス市況が崩れるといった心配は杞憂に終わりそうです。
 
 また、リートのマネジメントクオリティ、不動産の運営能力や収益性の高い物件を購入する目利きの力に注目しています。
 
前田:リートの魅力とは?
 
伊藤:現在4%程度の相対的に高い分配金利回りが、リートの魅力だと考えています。東証リート指数の上げ下げを除き、年率4%で資産が増えるとすると、10年では複利効果で投資資金は約1.5倍に、また約60年で10倍以上になります。
 
 また、リートは情報開示が充実しています。決算発表会を動画で配信しているリートは多く、投資家向けに説明会を実施しているリートもあります。
 
◆掘り出し物に出会える中小型株の魅力
 
前田:山本マネージャーは、中小型株に投資するファンドを運用しています。中小型株の魅力とは?
 
山本:東証には1部、2部、マザーズ、JASDAQという市場があって、3600以上の会社が上場しています。大型株とは、東証一部の中で時価総額の大きな100銘柄をいいます(注:東京証券取引所が決めています)。それ以外の3000社余りの企業が中小型株です。一口に中小型株といっても、百年以上の歴史がある会社から、最近上場したばかりのメルカリのような会社まで、業績の良い成長している企業から、そうではない企業まで、玉石混交で数が多いのが中小型株です。
 
 証券会社で企業調査をしているアナリストがいますが、大型株では平均すると12.4人がその企業のレポートを書いています。ところが、中小型株になると、担当しているアナリストがいないということもあります。それだけに、丹念に調べていくと、思わぬ掘り出し物に出会えるということがあります。宝物さがしのような楽しみがあるのが中小型株です。
 
前田:銘柄を探す時には、どのようにしているのですか?
 
山本:今年、話題になりそうなことを新聞や同僚との会話などからキーワードをリストアップしています。たとえば、昨年のキーワードとして選んでいたのは、コーポレートガバナンス、働き方改革、省人化、ロボット、物流施設などの言葉です。そして、それぞれに関連のある銘柄を調査し、銘柄発掘をしています。
 
 もうひとつの方法は、身近なところでヒントを得る方法です。皆さんも、普段の生活の中で、食べておいしい店や、人気のある商品などがあれば、そこに関わる企業の株価を調べてみてください。
 
◆ファンドマネージャーの心がけ
 
前田:お二人がファンドマネージャーとして常に気をつけていることを教えてください。
 
伊藤:多くの投資家が高く評価している銘柄ではなく、今後評価が高まる可能性があると判断される次の銘柄を探すという姿勢を大事にしています。
 
山本:分散させることを大事にしています。業績が良いからといって、同じ業種にばかり投資するのではなく、分散して投資するようにしています。また、企業によっては、創業当初の成長が続いている企業もありますし、失敗を経て再成長する企業もあります。いろいろな成長局面にある企業を、分散して持つということも意識しています。
 
前田:伊藤は、「明治安田J-REIT戦略ファンド(毎月分配型)」(愛称:リート王)というファンドを運用しています。山本は「明治安田日本中小型成長株式ファンド」(愛称:つぶぞろい)というファンドを担当しています。是非、二人が運用しているファンドにも注目してください。(写真は、女性を対象とした投資セミナーの様子)