ドル円は大幅に上昇。日銀の金融政策が継続されることや、米中が貿易戦争回避への交渉を模索しているとの報道で111円96銭までドル高が進む。ユーロドルは再び1.17を挟む水準まで値を戻し、依然レンジ内取引が継続。

 株式市場は反発。米国と中国が全面的な貿易戦争の回避を目指して交渉再開を模索しているとの報道を好感。ダウは108ドル上昇。下げが続いていたナスダックも41ポイント上昇。債券相場も反発。長期金利は2.96%台へと低下。金は4日ぶりに上昇。原油価格は供給過剰との観測から大幅に反落し、68ドル台まで売られる。


6月個人所得          → 0.4%
6月個人支出          → 0.4%
6月PCEコアデフレー     → 1.9%
4-6月雇用コスト指数     → 0.6%
5月ケース・シラ-住宅価格指数 → 6.5%
7月消費者信頼感指数      → 127.4

ドル/円   111.42 ~ 111.96
ユーロ/ドル 1.1683 ~ 1.1746
ユーロ/円  130.66 ~ 131.15
NYダウ   +108.36 → 25,415.19ドル
GOLD   +2.10   → 1,233.60ドル
WTI    -1.37   → 68,76ドル
米10年国債 -0.013  → 2.960%

 
本日の注目イベント

中  7月財新製造業PMI
欧  ユーロ圏7月製造業PMI(改定値)
欧  企業決算 → BNPパリバ、フォルクスワーゲン
米  7月ADP雇用者数
米  7月ISM製造業景況指数
米  FOMC声明発表


 昨日、注目されていた日銀金融政策決定会合の結果が12時を過ぎても発表されず、市場関係はランチもとらずに、やきもきしていました。通常、発表が遅いということは、「議論が紛糾している」と考えられ、その間にドルは110円80銭前後まで売られる場面もありました。

 結局発表は1時2分過ぎとなり、ヘッドラインでは「大きな枠組みの変更はなし」でしたが、ややネガティブな結果を予想していたことから、ドル円は上昇。111円40銭程度までドル高が進みました。海外市場ではその流れと、米国と中国は全面的な貿易戦争回避を目指し、交渉再開を模索しているというブルームバーグのニュースにドルは一段高となり、NY市場では111円96銭までドルが買われています。

 ブルームバーグによると、ムニューシン財務長官と中国の劉鶴副首相がそれぞれ代理人を通じて水面下で対話を続け、交渉を再開する方法を模索していると報じています。貿易問題を巡って米中両国は対立姿勢を崩していませんが、全面的な貿易戦争は避けたいという考えはあるようで、これが市場のリスク回避を後退させたようです。

 日銀政策会合の結果については、当初伝わってきた内容は「長期金利は0%程度で、短期金利は-0.1%を維持する」というもので、特段変化はなく、フォワードガイダンスの導入と、ETFの買い入れを日経平均連動型からTOPIX連動型に変えるという程度でした。その後黒田総裁の会見を通じて明きからになったのは、「副作用に配慮」と「長期金利の上昇容認」でした。本来ならドル売りで反応してもおかしくない内容でしたが、同時に総裁は「当分の間、現在の極めて低い長期金利の水準を維持する」と発言し、現行の緩和政策をまだ当面継続するという強い姿勢を市場に示した形となり、これがドルのショ-トカバーを誘ったとものと見られます。

 一部新聞社や通信社が報じた「金融政策の修正を検討」というニュースでドル円は110円台半ばまで下落する場面がありました。結果的にはその報道通りでしたが、為替の反応はむしろその報道でドルのショートが膨らみ、ドル買い戻しが112円手前までドルを押し上げたとも言えそうです。

 会見で「物価上昇のモメンタムはしっかり維持されている」と、黒田総裁は述べていましたが、展望レポートでは、その見通しも下方修正されました。そもそも2%の物価上昇を達成するために異次元緩和に踏み切り、超低金利政策を断行し、さらにはマイナス金利も導入しました。それでも物価上昇の目標は達成できていません。黒田総裁も述べていましたが、想定した以上に人々のデフレマインドが強かったということのようです。

 ドル円は112円手前まで上昇したことで、先週1週間続いた「111円を中心に上下50銭のレンジ」を上抜けしたようには見えますが、今後このまま元の113円に向けて上昇できるかどうかはやや疑問です。昨日発表された消費者マインドなどの経済指標は引き続き好調で、これがドルの下支え役になっています。その意味では、今後も貿易を巡る問題の行方と、その影響をもろにうける経済指標の内容には十分留意が必要です。

 本日のドル円は111円20銭~112円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)